不確実性が高まるグローバル経営環境の下では、従来型の人的ガバナンスのみに依拠した管理には限界があります。本講演では、事業の多角化やM&Aによる拠点増加、地政学・規制リスクの顕在化といった環境変化を踏まえ、グループ全体として実効性ある規律と価値創出を両立させるためのガバナンスの方向性を整理します。組織・管理体制の設計にとどまらず、財務・オペレーション・データを貫く経営改革の視点から、本社と事業・海外拠点の関係性をいかに再設計すべきか、実務に即した示唆を考察します。
開催日時
(配信開始予定 11:05~)
開催趣旨
グローバル経済の不確実性が一段と増す中、グループ経営を取り巻く環境は大きな転換期を迎えています。地政学リスクの顕在化、各国規制や制度の差異、為替や人件費の変動、さらにはM&Aによる事業・拠点構成の複雑化などにより、本社・事業・海外子会社を包含したグローバル・グループ・マネジメントの難易度は急速に高まっています。こうした環境下において、各拠点の自律性を尊重しつつ、いかにしてグループ全体としての規律と一体経営(価値創出の最大化)を実現していくのか。いま改めて、グローバルな視点でのグループ・ガバナンスの在り方が問われています。
これまで日本企業のグループ・オペレーションは、本社から経験豊富な人材を派遣し、人的なつながりと献身によって規律を維持する、いわゆる「人的ガバナンス」がその中核を担ってきました。しかし、事業構造の高度化・多角化が進む中で、この属人的な管理スタイルは質・量の両面で限界を迎えつつあります。一方、M&Aを通じた非連続な成長は、拠点数の急増に管理体制の整備が追いつかない状況を生み出し、特に海外拠点においては、会計不正や処理エラーといった企業価値を大きく毀損しかねないリスクも顕在化しています。こうした課題は海外拠点に限ったものではなく、国内事業を含むグループ全体においても、現場の論理やリソース制約、あるいは自律性を重んじる拠点側との摩擦など、画一的な管理手法では解決が難しい複雑な実務課題が存在します。ASEANや欧州をはじめとする各地域の地政学リスクやセキュリティリスク、国内外子会社のガバナンス再構築など、本社はいかにして実効性のある規律をグループ全体に浸透させていくべきでしょうか。
本フォーラムでは、現代におけるグループ・ガバナンスをメインテーマに、グループ全体に健全な牽制と規律をもたらすマネジメントの在り方を多角的に検証します。現地に過度な負荷をかけることなく規律を維持するモニタリングの仕組みや、本社の求心力と各事業の遠心力を真に両立させる意思決定の在り方など、本社・事業会社が直面する課題への「実務的な示唆」を探ります。経営企画、関係会社・地域統括、財務、経理など、グループの未来を担うコーポレート部門の方々を参加対象に、全社最適に基づいた一体経営を実現するキーファクターを考察していきます。
プログラム詳細
11:20 - 12:00
基調講演
【グローバル・グループ・ガバナンス構築】
激動の時代におけるグループガバナンスの向かうべき道筋
― 組織・管理体制から財務・オペレーション・データまでを貫く「経営改革」の進め方 ―
- グローバル環境下で求められるグループ・ガバナンスの再定義
- 本社の求心力と事業・海外拠点の自律性を両立させるための実効性ある管理・モニタリングの考え方
- 組織・業務プロセス・データ基盤を横断した一体型経営改革の進め方と実務上の論点
有限責任 あずさ監査法人
アドバイザリー統轄事業部 マネージング・ディレクター
高羽 満 氏
外資系コンサルティングファームを経て、2010年KPMGジャパンのメンバーファームへ入社。会計関連の知識とバックオフィスシステムのエンジニアリング経験を背景に、経営管理・経理及び財務業務を中心とした業務プロセス高度化・改善、DX計画・システム選定・構築・ロールアウト支援、データ分析による経理ガバナンス構築など多数のプロジェクトに従事。
有限責任 あずさ監査法人
アドバイザリー統轄事業部 ディレクター
横尾 健 氏
銀行系コンサルティングファームを経て、2015年にKPMG/あずさ監査法人に入所。業務改善/経営管理、組織再編領域のコンサルティングで20年以上の経験を有する。2021年よりKPMG英国のジャパンデスクに所属。2023年よりあずさ監査法人に帰任し、FP&A含むCFO組織改革や経営管理改革の支援に従事。
講演のポイント
12:00 - 13:00
休憩
13:00 - 14:00
特別講演&インタビューセッション
【攻めと守りのグループ経営】
グループ経営の進化に向けた挑戦
~異業種ポートフォリオにおける一体経営とガバナンスの再設計~
- 異業種ポートフォリオにおけるグループ経営~本社と事業会社の役割分担、権限設計
- ホールディングス機能の在り方と組織設計の見直し
- 意思決定のスピードと統制を両立する仕組み
- 今後に向けたグループ・ガバナンスの方向性~課題と展望
明治ホールディングス株式会社
取締役副社長
古田 純 氏
1981年に明治製菓株式会社(現・株式会社明治)に入社。経理・財務、米国駐在、経営企画のキャリアを経て、2013年に㈱明治の執行役員・広報部長に就任。2014年からは明治ホールディングス株式会社に異動し、IR、広報、サステナビリティ、総務・法務、DXなどのコーポレート組織を管掌。2025年に副社長に昇任し現在に至る。
講演のポイント
食品と医薬という異なる事業を併せ持つ独自のポートフォリオのもと、グループ経営の高度化に挑む明治ホールディングス。一体経営の実現に向けては、事業シナジーの創出や本社機能の在り方、組織設計の見直しなど、多くの論点に直面しながら試行錯誤の挑戦を続けています。本講演では、同社の経営を担う古田副社長をお迎えし、異業種グループならではの難しさと向き合いながら進めているグループ・マネジメントの実態についてお話しいただきます。ホールディングスとしてどこまで意思決定を担うべきか、事業の自律性とどのようにバランスを取るのか、また組織設計やガバナンスをどのように見直していくのか。現在進行形の取り組みの中での意思決定や葛藤を率直に共有いただき、後半はインタビューセッションも交えお話しいただきます。完成された成功事例ではなく、まさに変革の途上にあるからこそ見えてくるリアルな論点を通じて、グループ経営の進化に向けた本質に迫ります。
14:00 - 14:30
協賛講演
【グループ・オペレーションの高度化】
『人に依存しない経営』の実現へ
〜グローバル標準経営のリアルと実践〜
- 「ガバナンスを効かされる側」からのリアルな視点
- 「人に依存しない」持続可能なオペレーションの実現
- M&Aを加速させる高速PMI(買収後統合)の舞台裏
SAPジャパン株式会社
代表取締役社長
堀川 嘉朗 氏
日本ディジタルイクイップメント(現 HPE)、デルにてエンジニアやマネジメント職を経験後、2013年にSAPジャパン入社。サービス営業部長としてお客様のプロジェクト成功に貢献。以降、サービス事業本部長、クラウドサクセスサービス事業本部長、最高事業責任者(CBO)など要職を歴任。一貫して、顧客のSAP投資価値の最大化、クラウド活用によるビジネス価値創出、パートナーエコシステムの強化を推進し、日本企業のDXを強力に支援してきた。社内横断でDE&I(ダイバーシティー、エクイティ&インクルージョン)推進にも尽力。2026年4月より代表取締役社長として、SAPジャパンのビジネス全体を統括している。
講演のポイント
グローバル本社による「ガバナンス強化」は、多くの海外拠点にとって「管理の強化」と受け止められがちです。しかし、真のグローバル経営とは、本社が一方的にルールを課すことではありません。本セッションでは、グローバルな統制下にある日本法人(マーケットユニット)の責任者「ガバナンスを効かされる側」の視点から、その実態とメリットをお話しします。データに基づく「標準化経営」が、いかに現場の生産性を高め、ビジネスの持続可能性と成長をドライブするのか。そして、本社と現場の「一体経営」を実現するための要諦を、実践知を交えてご紹介します。
14:30 - 15:20
事例講演
【グループ・海外ガバナンス】
YKK流 グローバル・ガバナンスの実践
~「信じて任せる」と「ONE YKK」による組織マネジメント~
- 本社による統制と現地マネジメント~5極地域経営と「ONE YKK」の実現への取組み
- グループ・ガバナンスとリスク・コンプライアンス体制~不正、事故を未然に防ぐための仕組みと文化づくり
- グループ・マネジメントにおける現在の課題認識と展望
YKK株式会社
常務執行役員 管理本部 法務・知的財産部長
原田 康弘 氏
1993年、吉田工業株式会社(現・YKK株式会社)に入社。法務を中心にコンプライアンス、リスクマネジメント、総務などを経験。官民人事交流の一環で経済産業省(特許庁)に出向(2年間)。2025年に現職就任。
講演のポイント
「善の巡環」という経営理念のもと、グローバルに事業を展開しながら独自の経営を実践してきたYKK。各地域の自律的な事業運営を尊重する「信じて任せる」という思想を基盤にしながらも、近年は「ONE YKK」を掲げ、グループとしての一体最適の実現に取り組んでいます。自律と統合という一見相反するテーマに対し、どのように向き合い、組織として機能させているのか。本講演では、原田常務執行役員をお迎えし、世界各地域における現地主義とグローバル・ガバナンスの両立について、その取り組みの今をお話しいただきます。理念の共有を軸としたマネジメントと、業務の可視化・標準化といった仕組みをどのように組み合わせ、グループ全体での意思決定や組織運営に落とし込んでいるのか。地域自律とグループ統制の最適なバランスを探る実践を通じて、グループ・マネジメントのヒントを考察します。
15:20 - 16:30
パネルディスカッション
【グループ・ガバナンスの実践】
企業価値経営を実現する本社機能(HQ)とグループ・マネジメント
~一体経営を支えるガバナンスの実務と課題~
- 本社(HQ)と事業・海外子会社の関係性や役割分担
- 一体経営を実現するうえでの実務上の課題
- ガバナンスの実効性や現場での運用に関する工夫
- グループ・マネジメントにおける現在の課題認識
パネリスト
日東電工株式会社
取締役 専務執行役員 CSO、CHRO
コーポレート人財本部長
大脇 泰人 氏
1984年 日東電工株式会社に入社。回路材事業部(現ICT事業部門)事業部長、テープ事業部門(現基盤機能材料事業部門)事業部門長など事業責任職を経て、2012年 執行役員就任以降、品質・環境・安全統括部門長、インド駐在マーケティング責任者、CPO(最高調達責任者)、CIO兼サステナビリティ本部長を歴任。2021年 専務執行役員、2023年取締役。2026年4月、取締役 専務執行役員CSO、CHROコーポレート人財本部長に就任。全社戦略、人事・教育、DE&I推進、日本エリア経営を担当。
パネリスト
ソニーグループ株式会社
執行役員 コーポレートエグゼクティブ
法務、コンプライアンス、プライバシー、知的財産、渉外担当
竹澤 香織 氏
ソニー株式会社法務部入社。エレクトロニクス製品・デバイス事業の法務サポート、ソニーマーケティング株式会社の法務・コンプライアンス責任者を経て、ソニーグループの本社機能にて、法務、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、プライバシーなどを担当。2023年4月に執行役員就任。2025年4月より渉外、7月より知的財産も担当。
パネリスト
日戸興史事務所 代表
(元 オムロン 取締役執行役員専務 CFO
兼 グローバル戦略本部長)
日戸 興史 氏
日戸興史事務所 代表、元国内大手電気機器メーカー取締役専務執行役員 CFO 兼 グローバル戦略本部長。入社以来、エンジニア、技術企画を担当。1996年から4年間シリコンバレー駐在。2006年ヘルスケア子会社経営統括部長、2014年取締役執行役員常務、2017年 CFO就任。2023年6月 退任。現在は、社外取締役3社の他、個人事業主として各種経営アドバイスを行うとともに、日本CFO協会理事、京都大学iPS細胞研究財団 理事ほか。
モデレーター
有限責任 あずさ監査法人
アドバイザリー統轄事業部 マネージング・ディレクター
柏原 恭太 氏
1999年朝日アーサーアンダーセン入社。様々な業種のグローバル企業に対して企業戦略を実現するための経営管理の仕組みの構築、組織再編、管理会計の高度化に関わるコンサルティング業務に従事。2008年に有限責任 あずさ監査法人のアドバイザリー部門に入所、以来、CFOを取り巻く環境変化を踏まえたCFOアジェンダに関わるCFO組織改革、コーポレート組織の業務プロセスの改革、シェアードサービス化や組織再編、持株会社化などに広範なテーマに従事。最近では特にFP&A導入や業務の実装、日本企業の業績・財務コントロールの変革、資本コスト経営の定着化に向けた支援に数多く従事、セミナー・寄稿多数。
16:30
終了予定
※ プログラム内容や時間は急遽変更となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
開催概要
-
開催日時
ライブ配信
2026年7月9日(木)11:20~16:30(配信開始予定 11:05~)オンデマンド配信
2026年7月10日(金)~8月15日(土) *期間内にご自由にご視聴いただけます。 -
参加対象者
経営者、役員、経営企画、グループ管理、地域・関係会社統括、事業部門、経理財務部門、他コーポレート部門の管理職の方々
-
参加料
¥25,000(お一人様/税込み)
-
参加形式
オンライン配信
(配信環境:Vimeo)
*ライブ視聴&約1ヶ月間のオンデマンド視聴付き
※本セミナーはオンラインでの配信となります。視聴方法はお申し込み後にご案内いたします。
※お申込者でない方への視聴用URL共有はご遠慮ください。同じ会社内で複数名でのご参加を予定されている場合にも、お手数ですがお一人ずつお申し込み下さい。
※登録時のメールアドレスに登録完了メールを送付いたしますが、万が一届かない場合、大変お手数ですが、customer1@b-forum.netまでご連絡ください。
-
主催
株式会社ビジネス・フォーラム事務局
-
協賛
KPMG/あずさ監査法人
、
SAPジャパン株式会社