日本企業は、日本的な特徴を持つ「グループ経営」のもと、戦後の企業集団から持株会社制度の普及、連結経営の深化へと重心を移し、その最適解を模索してきた。近年はコーポレートガバナンス・コードの改訂や東証の要請も背景に、「形式から実質へ」という圧力が高まり、グループ全体としての資本効率や戦略一貫性の追求が進んでいる。一方、AIの進化・普及は事業環境の変化速度と複雑性を一段と高め、従来の枠組みや意思決定プロセスの再設計を迫っている。本講演では、従来のグループ経営が抱えてきた構造的課題を整理し、AI時代における企業グループのガバナンス・組織・マネジメントの進化可能性と方向性を考察する。
開催日時
(配信開始予定 10:15~)
開催趣旨
企業の持続的成長に向け、グループ経営は、今まさに新たな局面を迎えています。市場や技術の変化が急速に進み、サプライチェーンや資本市場の構造も大きく揺らぐ中で、従来の「量的拡大」や「選択と集中」を超え、意思決定の質を高め、質的成長を実現するマネジメントモデルへの転換が求められています。いま企業グループに求められているのは、国内外の事業を俯瞰し、グローバル全体で付加価値を生み出す「全社価値創造」への転換です。
その中心にあるのが、複雑化する経営環境の中で、意思決定の質を高め、成長を加速させる“本社の力”であることは言うまでもありません。本社の役割は、単なる統制や管理ではなく、海外を含むグループ各社の自律を尊重しつつ全体最適を導く「舵取り」へと変化しています。為替変動や地政学リスク、グローバル人材の多様性といった新たな変数を踏まえながら、データとAIを活用して経営判断を支援、ポートフォリオを再構築し、資本配分やリスクを最適化する。いま本社には、戦略・財務・人材・リスクを横断して意思決定を知能化し、企業価値を創造するための構想力と実行力が問われています。
とはいえ、その実現は決して容易ではありません。グローバル拠点を含む各事業が現場の論理を優先し、方針の整合に苦労する。経営データを国・地域を跨いで整えるだけでも膨大な時間と労力を要し、分析よりも前処理に追われる、こうした現場の葛藤こそ、経営企画やCFO部門が日々向き合う“現実”です。それでも、理想と現実の狭間で粘り強く挑戦を続け、組織を動かし、変革を進めていく姿にこそ、グローバル経営の中枢としての本社の真価が宿ります。いま問われているのは、制度やモデルの整備ではなく、「実行を通じて成果を生む本社の力」です。AIやデータによる分析力と、現場を動かす対話力・説得力・構想力など、この「人とデータの知の融合」こそが、これからのグローバル・グループ経営の原動力となるのではないでしょうか。
本社と事業の信頼関係を基盤に、サステナビリティ・人的資本・リスク管理など、様々な経営課題を統合的にマネジメントする全社戦略の重要性も、いま改めて高まっています。本フォーラムでは、こうしたグローバル経営環境の変化に対応しながら、“経営の高度化”によって意思決定の質を高め、実践によって成長を実現する新たなグループ経営の姿を探ります。理想を描くだけでなく、現場を動かす「本社力」とは何か。本社・事業・人・データが国境を越えて交わるこの時代に、全社価値創造を実現する新たなマネジメントを検証していきます。
プログラム詳細
10:30-11:10
基調講演
【グループ経営の高度化】
グループ経営の課題とAI時代に向けた進化の方向性
- 日本的なグループ経営が抱えている構造的課題の整理
- AI時代に企業グループがどのように進化すべきかを考察
PwCコンサルティング合同会社
ストラテジーコンサルティング ディレクター
有馬 大貴 氏
外資系IT企業、大手コンサルティングファームを経て、2018年にPwCコンサルティングに入社。事業ポートフォリオ転換を図る企業を中心に、コーポレートガバナンス・グループガバナンス構築、全社戦略・中期経営計画の策定、M&A戦略策定・デューデリジェンス・クロスボーダーPMIの支援経験を有する。
講演のポイント
11:10-12:00
事例講演
【攻め(成長)と守り(ガバナンス)のグループマネジメント】
テルモのグローバル化への道筋
~事業拡大を支えるコーポレート部門の進化 LIVE
- 成長戦略としてのM&Aとポートフォリオ経営
- グローバル化におけるマネジメント、コーポレート改革
- 意思決定の迅速化・高度化に向けた取り組み
テルモ株式会社
経営役員 CFO CIO
萩本 仁 氏
1996年 ソニー株式会社(現ソニーグループ株式会社)入社。東京本社・米国・欧州にて、経営管理、組織変革プログラムの立案と推進、新規ネットワーク事業の立上、情報システム、などの業務に従事。その後、ソニー・インタラクティブエンタテインメントにてゲーム事業CFO 兼コーポレートIT システム担当役員、グループ本社の米国拠点にて事業横断のDX 戦略、欧米のIT業務に従事。2022年 テルモ株式会社入社、CAFO室長。2024年 経営役員 チーフファイナンシャルオフィサー (CFO)兼チーフインフォメーションオフィサー (CIO)に就任、現在に至る。
講演のポイント
大手医療機器メーカーであるテルモは、グローバルでの事業成長を推進し、2024年度には売上高1兆円を突破。M&Aによる成長加速と、資本効率を意識した経営の確立を通じ、グループ全体の企業価値最大化に取り組んでいます。本講演では、ソニーから転身し、こうした改革を牽引している経営役員の萩本氏を迎え、コーポレート部門が果たすべき役割と、その実行プロセスをご紹介します。萩本氏はCFOとCIOを兼務し、日米欧のスタッフ100名超からなるグローバルビジネスサービス部門を新設。海外子会社を含む経理機能の一元化や在庫の適正化など、国・法人をまたぐ経営基盤の整備を進めてきました。一方で、カンパニー制のもと事業側の自律性を尊重しながら、コーポレートとしてどこまで踏み込み、どの領域を支えるべきかという判断や、地域・子会社ごとに異なる制度、人材グレード、データのばらつきといった課題とも向き合っています。講演では、買収案件の経験も交えながら、事業ポートフォリオ経営においてコーポレート部門が果たす役割、デジタルとファイナンスをどのように組み合わせて実行力を高めていくのか、そして「コーポレートがやり切る」とは何かについて、具体的に紹介いただきます。
12:00-13:00
休憩
13:00-13:30
協賛講演
【グループ・オペレーションの高度化】
システムが支えるデータドリブンな経営/価値創出
- 企業の持続的成長を実現する価値創出の3類型
- 企業価値向上に繋がる3つの経営施策とシステムが具備すべき機能
- システム導入を成功に導くカギ(ゴール設定・運用体制・AIなど)
株式会社電通総研
エンタープライズ会計ソリューション本部 第1ユニット ユニット長
荻原 主税 氏
1996年に株式会社電通国際情報サービス(現 株式会社電通総研)に入社。入社以来25年超、一貫してグループ経営管理ソリューションに従事。上場企業を中心とした大手企業向けの連結決算・グループ経営管理システム導入のプロジェクトマネージャを20件以上担当。現在はSTRAVISとTagetikの技術部門責任者。
講演のポイント
企業価値向上のための迅速で的確な経営意思決定には、その判断の基礎/裏付けとなる『データ』が欠かせません。そのようなデータドリブンな経営は、システムによるデータの量的及び質的な担保があってこそ、実現可能であると考えます。そこで本日は、昨今の企業経営における重要テーマである『事業別業績評価』『非財務情報』『データ統合』を取り上げ、その実行に必要な具体的システム機能(含むAI支援)を解説するとともに、データを介したシステムによる企業価値創出への貢献について論述します。また併せて、そのようなシステムの導入を成功に導くためのポイントについて、これまでの導入事例/経験を踏まえながら、特に重要と思われるものを紹介します。
13:30-15:00
特別講演&インタビューセッション
【グローバルマネジメント×リーダーシップ】
変革に挑戦し続ける100年企業、ブラザーの経営力
~経営のリーダーシップと意思決定の歩み~
- グローバル成長の歩みと「圧倒的な当事者意識」の育て方
- テリー流のVUCAとは?~Voluntary、Understand、Compassion、Adaptability
- 変化の時代にリーダー、そして経営者に求められること
ブラザー工業株式会社
取締役会長
小池 利和 氏
1955年愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、79年ブラザー工業に入社。入社3年目から23年間アメリカに駐在し、プリンター事業の拡大に貢献。92年、米国法人取締役、2000年米国法人の社長に就任。05年に帰国し、07年ブラザー工業の代表取締役社長。18年代表取締役会長、22年から取締役会長。
講演のポイント
1908年にミシンの修理業ではじまり、その後主力事業をミシンからプリンターなどの情報通信機器に変え、さらに工作機械や産業用印刷領域の成長を目指す事業ポートフォリオの変革に取り組み続けるブラザー工業。その原動力は、徹底した「顧客基点」と、リスクを恐れぬ変革の精神にあります。本講演では、約23年間の米国駐在でプリンター・複合機などの販売拡大に尽力し、帰国後は社長としてリーマンショック等の危機を乗り越えてきた取締役会長の小池氏(社内では「テリーさん」の愛称で呼ばれる)をお迎えし、グローバルでの事業成長の歩み、そしてリアルタイムの情報を経営判断に直結させる「テリー流データ経営」の要諦や、自律的な変革を促す人財マネジメントなど、攻めと守りの経営のリアルをお伝えします。ポートフォリオ改革やM&Aなど、変化に正しく対応し、事業成長を続けるための経営とは何か。「失敗はトップの責任、成功は本人の手柄」と言い切る信念に基づき、圧倒的な当事者意識を持つ次世代リーダーの育成手法など、100年企業の伝統とベンチャー精神を共存させる、情熱溢れる経営哲学を、後半はインタビューセッションも交えながら、お話しいただきます。
15:00-16:30
パネルディスカッション
【成長を加速させる本社力】
実行を通じて成果を生む“本社力”とは何か
~グループ経営における意思決定の質とスピード
- 各社のグループ経営の機能と仕組み、課題
- 本社の“実行力”はどこで生まれるのか~理想の全社最適と現場のリアルをどうつなぐか
- 意思決定の質とスピードをいかに高めるか~データ、現場知、意思決定の仕組み等
-
グループ全体で価値を生む本社の役割とは
~コーポレート部門は様々な環境変化のなかでどのような役割を担っていくべきか
株式会社レゾナック・ホールディングス
常務執行役員 最高戦略責任者/最高リスク管理責任者
真岡 朋光 氏
東京大学大学院工学系研究科修了。A.T.カーニーに入社。その後、インフィニオンテクノロジーズ、レノボ・ジャパンを経て、ルネサスエレクトロニクスで執行役員として、経営企画や中国事業統括等に携わる。2021年10月に昭和電工(現・レゾナック・ホールディングス)へ入社し、22年3月より取締役最高戦略責任者(CSO)に就任。23年1月よりレゾナック・ホールディングス 取締役最高戦略責任者(CSO)。24年1月より現職。
日清食品ホールディングス株式会社
執行役員 経営企画部長
戸嶋 健介 氏
慶應義塾大学卒業後、1993年三菱商事入社。エネルギー・海運業界にて営業・経営企画・新規事業・ベンチャー立上げ・M&A・子会社経営など幅広く経験。2020年日本ペイントHD入社、自動車塗料事業のグローバル再編を主導し翌年理事・国際部長に就任。2023年日清食品HD入社。新規事業『完全メシ』のマーケティング部長を経て2025年執行役員CSO補佐・経営企画部長(現職)。ハーバードMBA。
塩野義製薬株式会社
理事 経営戦略本部 経営企画部 部長
水川 貴史 氏
1995年 塩野義製薬株式会社入社。MR(名古屋・栃木の病院担当)、営業企画部・本部企画室、流通統括部、その後中国エリア支店長を歴任。2019年~本社経営企画部、2020年~、研究部門である研究企画部部長、先端医薬研究所所長、2022年 製造部門であるシオノギファーマ経営戦略本部長、2023年より本社経営企画部部長、現在に至る。
モデレーター
PwCコンサルティング合同会社
ストラテジーコンサルティング ディレクター
有馬 大貴 氏
16:30
終了予定
※ プログラム内容や時間は急遽変更となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
開催概要
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開催日時
ライブ配信
2026年3月26日(木)10:30~16:30(配信開始予定 10:15~)オンデマンド配信
2026年4月1日(水)~5月10日(日)*期間内にご自由にご視聴いただけます。 -
参加対象者
経営者、役員、経営企画、経営管理、経理財務、国際、リスク、IT他、コーポレート部門の管理職の方々
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参加料
¥25,000(お一人様/税込み)
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参加形式
オンライン配信セミナー
(配信環境:Vimeo)
*ライブ視聴&約1ヶ月間のオンデマンド視聴付き
※本セミナーはオンラインでの配信となります。視聴方法はお申し込み後にご案内いたします。
※お申込者でない方への視聴用URL共有はご遠慮ください。同じ会社内で複数名でのご参加を予定されている場合にも、お手数ですがお一人ずつお申し込み下さい。
※登録時のメールアドレスに登録完了メールを送付いたしますが、万が一届かない場合、大変お手数ですが、customer1@b-forum.netまでご連絡ください。
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主催
株式会社ビジネス・フォーラム事務局
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協賛