JT(日本たばこ産業)は、国内たばこ市場縮小への対応のため、2007年にはイギリスのギャラハー社、2024年にはアメリカのベクター・グループを買収するなど、積極的にグローバルに大型M&Aを成功されてきました。講演では、大瀧氏が2000年代初頭より実際に体験されたビジネスにおける時代の変化についての見解を説明いただき、JTのこれからの新たな挑戦について、その背景や概要を元にお話いただきます。
M&Aマネジメント2025 ~シナジーを最大限に引き出し、企業価値向上を実現するための戦略 ~
開催日時
(配信開始予定 12:45~)
開催趣旨
国内市場の成熟化が進み、企業の成長戦略としてM&Aがこれまで以上に重要性を増している昨今、2024年度に日本企業が関わったM&A件数は、過去最多を更新しました。その内訳として、AI・再生可能エネルギーなどの成長分野やクロスボーダーM&Aが増加する傾向が見られる一方で、経営統合を実現したものの、思うようなシナジーを創出できず、M&Aによる企業価値の向上へとつながっていない企業も散見されています。
その主な要因として、統合協議において方針・計画・体制・ルール・進め方といった事項を両社が十分に踏み込んで討議できておらず、実質的な共通認識が得られていない点が考えられます。企業が経営統合を進めていく上で、戦略と統合方針の整理を行い、PMIに至るまで全体を視野に入れることはもちろん、最終的にシナジー創出を実現していくための体制を構築していくことが今後、ますます重要となっていくのではないでしょうか。
今回のM&Aマネジメント2025で、シナジーを最大限に引き出し、企業価値向上を実現するための戦略として、冒頭では日本たばこ産業の大瀧 裕樹氏より、M&A戦略の前段階での挑戦につき、お話しいただきます。その後の基調講演では東京大学 大学院 柳川範之教授より、ポストM&Aにおける組織戦略について、事例講演では、三菱電機の手塚 隆司氏より、PMIを中心に、お話しいただきます。鼎談では、PMIを起点とした統合後の経営変革について、議論をいただきます。
プログラム詳細
13:00 - 13:30
ゲスト講演
【M&Aに対する考え方の変化・挑戦】
20世紀から21世紀へのパラダイムシフト -JTにおける心の豊かさを中心とした挑戦
2000年代初頭からの時代の変化を、ビジネスにおける戦略や組織など複数の視点から個人的見解を一般論として洞察する。また、その一般論も踏まえつつ、進行形であるJTにおける新たな挑戦について、取組みの背景や概要をご紹介する。

日本たばこ産業株式会社
執行役員 D-LAB担当
大瀧 裕樹 氏
1998年慶應義塾大学法学部卒業後JT入社、2007年米国大学院卒業(MBA)。主にJTグループの経営戦略やたばこ事業の事業戦略の立案・実行を担当し、2013年にコーポレートR&D組織を立ち上げ、現在のD-LABに至る。現在、同社執行役員。
講演のポイント
13:30 - 14:00
基調講演
【異なる企業文化を持つ組織の融合】
M&Aの成功・失敗のカギを握るPost-Merger問題
- 統合後に生じるさまざまな問題~代表的な事例
- M&Aによるシナジー効果の創出
- 異なる企業文化を持つ組織を融合させていくために

東京大学 大学院
経済学研究科 教授
柳川 範之 氏
中学卒業後、父親の海外勤務の都合でブラジルへ。ブラジルでは高校にいかず独学生活を送る。大検を受けたのち慶應義塾大学経済学部通信教育課程入学。1988年慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業、1993年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。慶応大学専任講師、東京大学助教授、同准教授を経て、2011年より現職。新しい資本主義実現会議有識者議員、内閣府経済財政諮問会議民間議員、東京大学不動産イノベーション研究センター長等。著書に『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』(日経BP社、為末大氏との共著)、『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)、『日本成長戦略 40歳定年制』(さくら舎)、『法と企業行動の経済分析』日本経済新聞社等。
講演のポイント
柳川教授は、M&Aや企業再編に関する論考や提言を数多く行われ、特に経済学の視点から、企業価値は将来生み出す付加価値の割引現在価値であるとし、M&Aを通じた生産要素の柔軟な移動の重要性を指摘されています。講演では、M&A後の経営統合(PMI)や組織戦略を中心に言及いただき、代表的な事例を元に統合後に生じる問題を紹介、そして異なる企業文化を持つ組織を融合させていくために必要なポイントにつき、お話をいただきます。
14:00 - 14:40
ゴールド協賛講演
【成功企業に学ぶ、統合を成功に導く4つの要諦】
PMIは“終わり”ではなく“始まり” ─M&A後の統合から始まる経営変革
- アビームコンサルティングの独自調査から見えた「PMI成功要因」と「現場の課題」とは
- 形だけの統合で終わる企業、真の変革を遂げる企業 ─ 分かれ道は戦略と覚悟にある
- 成功企業は何をやっていたのか? 経営と現場を貫く「統合設計と変革継続」の実態

アビームコンサルティング株式会社
財務戦略・構造改革戦略ユニット
執行役員 プリンシパル
松浦 洋平 氏
戦略・M&A領域における豊富な経験を有し、PMI・カーブアウトなどの大規模変革プロジェクトを数多く支援。現在はアビームコンサルティング株式会社 執行役員 プリンシパルとして、企業の変革実行をリードしている。
講演のポイント
本講演では、アビームコンサルティングが実施したPMI実態調査の結果をもとに、「企業価値を左右するPMIの成否」を読み解きます。表面的な成功認識とは裏腹に、現場では統合の混乱や疲弊が続いているケースも少なくありません。成功企業の多くは、M&Aの戦略段階から統合設計に着手し、PMIを経営変革の起点として位置づけていました。Day1・100日・3年の時間軸をどう描くべきか、制度・人材・組織をいかに接続すべきか─調査結果と現場知見からその勘所を紐解きます。
14:40 - 14:50
休憩
14:50 - 15:20
事例講演
【企業の具体的なPMIへの取り組み】
M&Aを最終的に成功へと導くには
~企業が実践すべきPMIの具体的な取り組みについて
- M&Aの成否について何を基準に考えていくべきなのか
- PMIにおける留意点~統合が思い描いた形通りに進むことは無い
- 多くの成功と失敗を積み重ねてきたからこそ分かるシナジー創出の難しさ

三菱電機株式会社
経営企画室 室長代理
手塚 隆司 氏
富士通、ボーダフォン、アントキャピタルパートナーズにて事業開発業務に従事したのちコニカミノルタに移りM&Aに本格的に取り組む。数十件の買収・投資の経験を経て花王に籍を移しM&A推進体制を構築し戦略立案から案件推進・PMIまで主導。2025年5月より三菱電機にて事業成長と企業価値向上のための事業ポートフォリオ戦略推進を担当。
講演のポイント
三菱電機は、AI・デジタル分野の強化や既存事業の成長・シナジー創出を目的に、2025年5月に2027年度までの3年間で1兆円のM&A投資枠を設定され、低収益・課題のある事業について、2025年度中に継続・撤退の判断を行い、成長投資に経営資源を振り向けるための事業ポートフォリオの組み替えを進めておられます。講演では、企業の具体的なPMI事例を中心に、企業は何を目的にM&Aを行い、シナジー創出を目指していくべきか、お話いただきます。
15:20 - 15:50
シルバー協賛講演
【M&Aを点ではなく線で考える】
なぜシナジーが出ないのか? ─M&Aの“どこで判断がズレるか”を整理する─
- M&A戦略策定における、対象企業の適切な選定
- DDにおける、買収判断の見極め、買収後の要諦の見定め
- Valuationにおける、妥当な企業価値算定
- PMIにおける、シナジー創出の議論設計と議論推進

MAVIS PARTNERS株式会社
代表取締役 プリンシパル
田中 大貴 氏
令和元年にMAVIS PARTNERSを設立し、M&A戦略立案からポストM&Aまで一気通貫で支援できる体制を構築。ポストM&A研究会の代表としてM&A知見の発信にも注力しており、グロービス経営大学院ではファイナンス講師を務める。著書に『ファシリテーションの正攻法』『企業買収先「選定」の実務』『ポストM&A成功44の鉄則』がある。
講演のポイント
M&Aで思うようにシナジーが出ない──
その原因は、PMIがうまくいかなかったからではなく、もっと前の判断のどこかに歪みがあるからかもしれません。
本講演では、M&Aにおける以下の4つのフェーズそれぞれに、判断の“ズレ”が生まれやすい構造があることを整理します。
① M&A戦略策定における、対象企業の適切な選定
② DDにおける、買収判断の見極め、買収後の要諦の見定め
③ Valuationにおける、妥当な企業価値算定
④ PMIにおける、シナジー創出の議論設計と議論推進
これらはすべて連動しており、1つでも判断を誤れば全体が歪み、減損リスクにつながり得ます。
さらに、もしすでに買ってしまったあとに違和感があるなら、“セカンドPMI”や、売却といった選択肢も冷静に見直すべきタイミングかもしれません。
30分で、M&Aを通じてシナジーを創出するための必要な全体構造と、成果が出ない場合の現実的な次善策までを整理します。
15:50 - 17:05
鼎談
【M&Aを成功に導くためのPMI】
M&Aを成功に導くためのPMIについて(仮)
- 統合後の構造改革を通じて初めて実現されるM&Aの成果
- 「文化の違い」が原因なのではなく、制度・対話設計の未整備が摩擦の本質
- 統合プロジェクトのガバナンス設計

パネリスト
三菱電機株式会社
経営企画室
室長代理
手塚 隆司 氏

パネリスト
アビームコンサルティング株式会社
財務戦略・構造改革戦略ユニット
執行役員 プリンシパル
松浦 洋平 氏

モデレーター
東京大学 大学院
経済学研究科 教授
柳川 範之 氏
17:05
終了
※ プログラム内容や時間は急遽変更となる場合がございます。予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
開催概要
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参加対象者
経営者、役員(M&A担当・CFOなど)、経営企画、管理、M&A推進、経理財務、人事、総務、法務部門などの管理職層の方々
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参加料
無料(事前登録制)
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参加定員
150名
※申し込み多数の場合は抽選とさせて頂きます。
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参加形式
オンライン配信(配信環境:Vimeo)
※本セミナーはオンラインでの配信となります。視聴方法はお申し込み後にご案内いたします。
※お申込者でない方への視聴用URL共有はご遠慮ください。同じ会社内で複数名でのご参加を予定されている場合にも、お手数ですがお一人ずつお申し込み下さい。
※登録時のメールアドレスに登録完了メールを送付いたしますが、万が一届かない場合、大変お手数ですが、customer1@b-forum.netまでご連絡ください。
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主催
株式会社ビジネス・フォーラム事務局
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ゴールド協賛
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シルバー協賛