ビックデータの活用で廃棄率の低下に取り組む
2002年頃から、ビックデータの活用によって廃棄率を低下させる取り組みがはじまりました。
お皿の裏にICチップを埋め込み、レーンを流れるネタの品種や数を管理する「回転すし総合管理システム」を導入したり、インターホンによる注文から顧客の喫食状況を分析し、レーンに流れるネタの最適化に取り組むなど、数々の試行錯誤を行いました。そして2006年に店舗の入り口に導入した案内台がようやく成果をあげます。案内台は、来客者情報と喫食データを結びつけることで分析の精度をあげ、廃棄率の低下に大きく貢献しました。
しかし、今度は店内が常に混雑しているため、顧客が離れていくという問題を抱えることになります。店内の混雑を解消するため、2015年2月に発券予約システムを独自で開発し、4月には「スシローアプリ」としてリリース。待ち時間のコントロール権を顧客に託すことで、回転率の上昇を実現しました。
「スシローアプリ」導入でマーケティングの精度を上げる
店内の混雑解消に大きく貢献した「スシローアプリ」には3つの重要な役割があります。「来店促進:予約・発券」「コンテンツマーケティング:WEBへの取り込み」「バックキャストマーケティング:お客様ごとのカスタマイズ」です。
会員登録制のスシローアプリで予約や発券をした顧客が来店することで、顧客情報と喫食時の注文データが結びつき、「どういった顧客が、どの媒体を通じて、どんな動機で来店し、何を食べたか」というまとまったデータが同時に得られるようになりました。これまで別々に分析していた行動データと購買(喫食)データが結節したことで、マーケティングの精度を上げることができました。それが「バックキャストマーケティング」です。
過去の来店時に収集した顧客属性データと注文データをもとに、その顧客がどのような趣向を持ち、どのような動機や情報ルートを通って来店したかを分析することで、顧客ごとに適切な販促アプローチが行えます。例えば、一皿180円や280円といった高単価の商品を好む人には、同じ価格帯の新商品を案内するなど、顧客の過去の注文データに応じて自動的に販促用コンテンツが配信される仕組みを導入しています。
当社では、こうした情報科学を生かしたマーケティングを行っていますが、食に対する顧客の本音はなかなか数字やデータから見えません。ビックデータマネジメントをどう活かしていくかは、今後も考え続けていくテーマです。