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NIHONBASHI BRIDGE FORUM 2016

基調講演 1

一橋大学大学院国際企業戦略研究科
教授
楠木 建
基調講演 2

 

株式会社A and Live
代表取締役
(ジャパネットたかた創業者)
髙田 明
特別対談


    楠木 建
氏 × 髙田 明
ランチセッション

落語家(真打)

立川 談慶

特別セッション

 

元 株式会社LIXILグループ 取締役 代表執行役社長 兼 CEO
元 ゼネラル・エレクトリック・カンパニー
シニア・バイス・プレジデント

藤森 義明

事例セッション

 

合同会社おもてなし創造カンパニー代表
元JR東日本テクノハートTESSEI
おもてなし創造部長
矢部 輝夫
特別セッション

 

シンクロナイズドスイミング 日本代表ヘッドコーチ
一般社団法人 井村シンクロクラブ 代表理事
井村 雅代 氏 

 

 本講演のトップバッターを努めたのは、一橋大学大学院国際企業戦略研究科、教授の楠木建氏。「競争戦略とイノベーション」を専門とし、数多くのビジネスパーソンや企業経営者から熱い支持を受けています。今回は、経営者との対話により楠木氏が導き出した「ビジネスにおけるスキルとセンス」、「好き・嫌い」について展開していただきました。


わかりやすい実例とユーモアを交えながら、ロジカルに展開される内容には、たくさんの参加者がメモをとり、熱心に聞き入る様子が伺えました。



 

 まず大前提として、ビジネスは科学とは違います。商売事や「伝えること」のような、人が強く関わる領域には法則がありません。「こうやったらうまくいく」というような飛び道具は、幸か不幸か無いのです。ある時、日本を代表する実業家のある方が「お客様の目線で考えること」が商売の要だと私におっしゃいました。これほど当たり前のことは無いように思えますが、これ以上のことはありません。伝えることもこれに同じく、聞いている人の目線で考えることが大切です。「言われてみれば当たり前」のことをやるしかないのです。

 

 ビジネスの場では「スキル」と「センス」という、相反する2つの物事が議題に挙げられます。ビジネスマンは、技量の多寡が見えやすいスキルにばかり傾倒しがちですが、センスにおいてはどうでしょうか。センスは努力と結果の因果が測れません。ゆえに経営センスとは「向いている人がやればいい」としか言いようのないものでもあります。「スキル」と「センス」の違いは「担当者」と「経営者」の違いにも例えることができます。 担当者であればスキルがものを言うわけですが、商売全体をまるごと動かし、成果を出す経営者にはセンスが重要になるのです。

 

 

 これは物事を伝える場合でも同じです。伝え方のスキルはもちろん必要ですが、そもそも何を伝えたいのか、伝える内容はセンスにかかっています。スキル以前に、何を伝えたいかの本質は、自分の内側にある本当にやりたいこと「ドライブ・動因」がにぎっています。 「インセンティブ・誘因」は自分の外側にあるものですが、これがあればスキルはおのずと上がります。しかし、「ドライブ」がなければ人の気持ちを、よし、と動かすことはできません。

 自分の内から湧いてくる「好き」をドライブにする。「好きこそものの上手なれ」と言いますが、これは努力を娯楽に変える最強の理論です。好きなことを続けていれば、やがて上達し、センスになる。ですから、私はあえて「良し悪しよりも好き嫌い」という言葉をよく使います。だから、私は「好きにしてください」と言うのです。

 

 

「シンプルかつストレートにお話のエッセンスがまとめられていて、

   まさに”伝わる”講演でした」

「著作も拝読しているが、内容がさらに磨かれており、非常にわかりやす 

 かった」

 

一橋大学大学院国際企業戦略研究科
教授

楠木 建 氏

1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。著書に『「好き嫌い」と才能』(東洋経済新報社)、『「好き嫌い」と経営』(東洋経済新報社)、『経営センスの論理』(新潮新書)、『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)、『知識とイノベーション』(共著、東洋経済新報社)などがある。

 

 

 通販業界大手「株式会社ジャパネットたかた」の創業者であり、現在は株式会社A and LIVEの代表を務める髙田明氏。商品を通して得られる幸福という「価値」を視聴者に分かりやすく伝え、これまでの常識を覆す方法で新たな市場を創出してきました。顧客と真摯に向き合い、情熱的に伝え続けた30年間で、髙田氏が見いだした「伝える極意」とは。


当日は講演原稿を用意せず、マイク1本だけを持って舞台に立った髙田氏。生き様がにじむような熱い語り口に引き込まれる、圧巻の40分となりました。


 通販会社を立ち上げてから30年、私は「伝える」ことをずっと続けてまいりました。よさが伝わらなければ買っていただけないシビアな世界で、自分の思いや商品の価値を伝えるために何度も思考錯誤し、何十回もテイクを重ねる。その積み重ねがこれまでのビジネスマン人生だったと思います。

 

 本日お越しの製造業の方々の中で、「会社の思いは消費者に伝わっている」と自信をもって言える方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。会場の皆さんに挙手をお願いしましたが、挙がった手の数は意外に少ないように思えます。これはとても大切なことで、私はよさを『伝えたつもり』になることが一番怖いと考えています。「伝えたつもり」と「伝えることに本気で取り組んでいる」のでは確実に差が出ます。だから私は「やるなら徹底的に、つもりにならずやりなさい」とよく言います。そして「やり続けて、今を生きる」というのを自分の人生のテーマとしております。

 

 

  伝え方には「我見」と「離見」があります。一生懸命伝えようとしても伝わらない時は、我見が勝っている時です。お客様の求めるものとは関係なく、一方的に「この商品はすごいでしょう、ここまで進化しましたよ」と打ち出したいポイントばかりを言い続けている状態です。一方、離見とは、お客様が自分たちの製品やサービスをどのように評価しているのか、という視点を意識することです。離見で伝えることが大切なのです。 物事を伝える時、必ずその先には相手がいます。誰に何を伝えたいのか明確にすることが重要です。これがブレてしまうと伝わりません。

 

  伝えるときには論理性も必要です。物事の順序がバラバラだと相手には伝わりません。情報を整理して伝えるコツは「序破急」にあると考えます。序破急とは能の世界の世阿弥の言葉ですが、序は導入部分、破は展開、急は結論のこと。破の展開の中にも、さらに序破急があります。また、コミュニケーションにおいては、非言語の要素も重要です。相手に与える印象の全体値を100とした時に、言葉が占める役割は2割です。あとの8割は表情やしぐさなど、非言語の力が影響しているのです。伝えるときには、指が喋り、体が喋り、目が喋り、顔の表情が喋っている。これは言い換えれば、情熱です。情熱をもっているかどうかが、伝わるかどうかに関係します。会社組織であれば、マネジメントは部下に対して情熱を持って表情豊かに夢を語れなければいけないと思います。

 

 我見と離見、そして言葉と非言語を駆使して情熱をもって伝えていくということが、どんなビジネスにおいても重要だと思います。

「熱く語る姿にどんどん引き込まれ、文字通り”伝える”伝道師だと感じまし
   た」
「積み重ねた経験からのお話には重みがあり、情熱的な人の生きざまを目の当
   たりにできて感動しました」

 

株式会社A and Live
代表取締役(ジャパネットたかた創業者)
髙田 明

 

1948年長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械製造メーカーへ就職し通訳として海外駐在を経験。74年に父親が経営するカメラ店へ入社。86年に「株式会社たかた」として分離独立。99年に現社名へ変更。90年にラジオでショッピングを行ったのを機に全国へネットワークを広げ、その後テレビ 、チラシ・カタログなどの紙媒体、インターネットや携帯サイトなどでの通販事業を展開。2012年には東京へオフィスとテレビスタジオを新たな拠点として開設する。2015年1月に「株式会社ジャパネットたかた」の代表を退任し、同時に「株式会社A and Live」を設立。「株式会社A and Live」社名の由来:今を生き生きと生きる世の中にしたいという想いから。

 

 

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