
「ユーザーの人生を豊かにするために物作りをしている、企業の思いを消費者に伝えることが大切」と語る、株式会社ジャパネットたかた創業者の髙田明氏。髙田氏の言葉に「伝えることが理屈抜きに好きなんですね」と感嘆する、一橋大学大学院教授の楠木建氏。お二人に共通する哲学は「“好き”が可能性を引き出す」ということ。ここでしか見られない、貴重なスペシャル対談が実現しました。
楠木:髙田さんは、本日のテーマについてお話を伺うにはもっともふさわしい方だと思いますが、長くテレビで伝え
続けるうえで、伝えるターゲットと伝え方というのはどのように絞り込んでこられたのでしょうか。
髙田:ターゲットと伝え方は商品によって異なるのですが、どの製品にも共通していえるのは、企業は消費者の生活
を豊かにするためにものづくりをしているということです。それを消費者に伝えることが大切だと思います。
楠木:伝えたいと情熱を持ってカメラに向かうなら、伝えたいと思えない商品は扱わないということでしょうか。
髙田:扱わないというより紹介できないのです。心から伝えたいと思えなければ言葉も出ないし、表情も真実の表情
にはなりません。
楠木:根底に自然な思いや情熱があれば、テクニックを箇条書きにしてマスターする必要はないということですか。
髙田:そうです。そして伝える時は「この商品を使うと、こんなふうに生活が変わりますよ」ということに紹介時
間の8割を割きます。残りの1割が機能の説明、あとの1割が値段です。機能の説明が1割だけでも売れる商品
はたくさんあると思います。逆に機能の説明を8割していたら、買おうという気にはならないでしょう。