「図々しさ」というリーダーシップが、
強いマーケティング組織をつくる
音部: 強いマーケティング組織をつくるには、何が必要だと思いますか?
石谷: ビジネスの目的を理解して、製品・サービスに関わる全てのことに責任を持てる組織が強いと思います。製品・サービスをつくってお客様に届け、そのフィードバックを受けて新たな製品・サービスに活かす。マーケティングだけでなく全ての部署に言えると思いますが、自部署の担当する一部分だけではなく、ビジネスに関わる全ての工程に関わりを持つことが重要です。
音部: 日本企業の特徴の一つかもしれませんが、振り返りや反省を上手く活かしていないことが多いですよね。物をつくって届け、フィードバックをもらい、その学びを活かして改善するプロセスは踏むべきでしょう。その一連の工程でリーダーシップを持って進めるのが、マーケティングの役割だと思います。リーダーシップは日本語に訳すのが難しい単語ですが、おそらく「統率力」ではなく「図々しさ」の方が意味に近いですよね。
植野: 「図々しさ」は、強いマーケティング組織であるために必要不可欠だと感じます。マーケティング担当者はお客様の代理人であり、これまでビジネス論理で進めてきてしまった会社をお客様視点で捉え直して変革する必要があります。他部署からは「なぜ変えなければならないのか」と疎まれることもありますが、マーケティング組織はある意味「反逆児」でなければなりません。
土方: 強いマーケティング組織であるために、企業の未来に責任を持ってデザインできる強烈なリーダーシップが必要だと感じます。製品の価値には「機能的な価値」と「情緒的な価値」の2種類がありますが、情緒的な価値は変わらないものです。その情緒的価値を10年後も、そして22世紀にも残していくために、リーダーシップを取って会社を変革する必要があります。
樋口: 様々なお客様とお仕事する中で、マーケティング組織が強いと感じる企業は横断的な組織を持っていると感じます。他部署と連携が取れていれば、問題が発生した場合も全社で対応することができます。CMOが他部署の役員を巻き込み、企業全体でマーケティングすることが重要です。