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Corporate Governance Leaders 2022 ショートレポート

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目次
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Corporate Governance Leaders 2022
変革期にあるガバナンスの再考
~実践知と未来から問う、持続的成長への改革の中身~

開催日:2022年 9月 27日(火)オンラインLive配信

主催:株式会社ビジネス・フォーラム事務局

特別協賛:マーサージャパン株式会社

協賛:Diligent

開催趣旨

2015年のコーポレートガバナンス・コード施行以降、日本企業のガバナンス改革は大きく進展し、昨年のコード改訂、東証市場再編などを受け、その期待はさらに加速しています。一方、こうした流れから枠組みの整備が進むにつれ、“形式から実質”への深化が指摘されているのも事実です。各企業の目指す姿や実情に応じた柔軟な運用や工夫など、より実質的な中身を充実させるための、もう一段階踏み込んだ改革が求められています。

加えて、世界的パンデミックや気候変動の流れ、デジタル化による産業構造の転換、地政学的リスクの高まりなど、かつてないほど激しく複雑かつスピーディーな変化の時代の中、これほどまでに経営の意志、迅速かつ果断な舵取り、その意思決定の質が問われる時代はありません。この変化とともに、ガバナンスを実質的に進化させるための仕組みや機能、経営への活かし方も多様化しています。経営そのものの見直しが求められる今こそ、ガバナンスのあり方も、各社の目指す姿や変革のステージに合わせた再検討が必要ではないでしょうか。

本フォーラムは、改めて自社にとってのコーポレートガバナンスのあり方を問い直す機会とすべく、日本企業におけるガバナンス改革の変遷と現在地を整理した上で、経営者や有識者、独立役員、機関投資家、有識者、ガバナンス推進・支援を担う実務担当の方々など、各ガバナンスリーダーの視点と実践知から、よりよい改革の方向性と未来を紐解き考察していくものです。

参加者の属性
≪部門≫
≪役職≫
≪業種≫

<特別講演> トップマネジメント視点のガバナンス改革

三井化学におけるコーポレートガバナンス改革
~持続的な企業価値向上と実効性強化へ向けた取組み~

三井化学株式会社 代表取締役会長
淡輪 敏

創業100年の歴史を持つ三井化学は、旧財閥系の重厚長大産業でありながらコーポレートガバナンスを意識した経営により高いパフォーマンスを発揮し続け、投資家からも高い評価を得ています。大胆な事業構造改革により3期連続赤字から社長就任後4年間でROEを10%も改善させるなど、同社のV字回復を牽引されてきた淡輪様。投資家の意見を取り入れながら、透明性の高いサクセッションプランの取組みやESG活動にも早くから取り組まれています。コーポレートガバナンスの仕組みを梃子に果敢な挑戦を続けられてきたその改革の道程と成果、今後の課題と展望について、トップマネジメントの視点からご講演をいただきました。

参加者の声

  • ガバナンスの形式を重視するのではなく、実質を重んじられて改革を進められたことがわかりました。
  • 普段聞くことのできない経営者ご本人の実体験で非常に興味深かった。
  • サクセッションについて、まずは任期を明確にする点については非常に参考になりました。
  • 企業風土変革への取り組みなど非常に参考になりました。
「<特別講演> トップマネジメント視点のガバナンス改革」の様子
「<特別講演> トップマネジメント視点のガバナンス改革」の様子
「<特別講演> トップマネジメント視点のガバナンス改革」の様子

<講演Ⅰ> ガバナンス改革の現在地と課題

武器としてのコーポレートガバナンス

マーサージャパン株式会社 組織・人事変革コンサルティング シニアプリンシパル
役員報酬・コーポレートガバナンスプラクティスリーダー
井上 康晴

株式会社は「所有と経営の分離」を本質とする組織形態であり、2種類の事業資金の出し手(DebtとEquity)をその存立の前提としています。つまり株式会社の構造を考えれば、経営者が外部のステークホルダーへのアカウンタビリティを果たすことは至極当然の責任と言えます。現在ではステークホルダーへのアカウンタビリティを果たす上で、「稼ぐ力の向上」を正面に据えたコーポレートガバナンスの深化が求められています。マーサージャパン井上様より、日本のコーポレートガバナンスの取り組みを振り返りながら、その深化に向けた日本企業の課題と今後の方向性について、海外企業のプラクティスを踏まえてご講演いただきました。

参加者の声

  • 欧米のコーポレートガバナンスの取り組みが知れて勉強になりました。
  • 人的資本経営、開示は出口、その通りですね!
  • 体系的な理解が出来ました。参考になりました。

「<講演Ⅰ> ガバナンス改革の現在地と課題」の様子

<パネルディスカッションⅠ> 取締役会の実効性向上

優れた取締役会(ボード)のあり方 ~実効性・多様性確保への課題と取組みからの考察~

ガバナンス改革の肝となる取締役会。CGコード改訂に伴い取締役会改革は着実に進んできたものの、“形式から実質へ”のプロセスはまだ道半ばであり、さらに様々な外部環境の変化も重なりその実務上の課題は複雑化しています。取締役会の実効性向上に向けて先進的な取り組みを進めるニトリホールディングス 青谷様、日立製作所 西岡様、多くの社外取締役・監査役として豊富な経験をお持ちの弁護士 國廣様、そしてガバナンスの専門家である早稲田大学 宮島先生を迎え、実際の実務上の工夫や苦労、また今後の取締役会改革において求められる視点などについて議論を深めました。

パネリスト
株式会社ニトリホールディングス 上席執行役員 法務室 室長(弁護士) 青谷 賢一郎

国広総合法律事務所 パートナー弁護士 國廣 正

株式会社日立製作所 取締役会室 室長 西岡 佳津子

モデレーター
早稲⽥⼤学 常任理事(財務担当) 商学学術院 教授 早稲田大学高等研究所 顧問 宮島 英昭

参加者の声

  • 実態を話して頂き、大変参考になりました。ありがとうございました。
  • 講師の方々の幅広いご経験に裏打ちされたコメントに感銘を受けました。
  • 社外取締役の会社への愛が重要である点が興味深く、納得しました。
  • 様々な立場・企業からのご意見に学び・気づきがあり、実業務に活かしていきたい。
「<パネルディスカッションⅠ> 取締役会の実効性向上」の様子
「<パネルディスカッションⅠ> 取締役会の実効性向上」の様子

<講演Ⅱ> 取締役会におけるデジタル変革

日本の取締役会DXに向けた課題と解決策

Diligent 日本法人代表、カントリーマネージャー
大浦 学

経営環境の変化が激しく、日本企業の多くがガバナンス改革の課題に直面している昨今、取締役会の運営には何が必要なのでしょうか。ここ1年で日本の大手企業を中心に導入が始まり、既にグローバル2万社以上の取締役会で利用される“世界シェアNo.1”取締役会DXソフトウェアを提供するDiligent 日本法人代表 大浦様より、ガバナンス強化に寄与する取締役会の効率的・効果的な運営の仕組みについて、実例とともに紹介いただきました。

参加者の声

  • Board DXについて参考になりました。
  • 効率性、利便性とセキュリティのバランスがとれる仕組みに思えました。
  • サービスの内容を理解することができ、参考になりました。

「<講演Ⅱ> 取締役会におけるデジタル変革」の様子

<特別講演Ⅱ> グローバル標準のガバナンス

武田薬品のグローバル経営を支えるコーポレートガバナンス

武田薬品工業株式会社 コーポレートストラテジーオフィサー&CEOオフィス
佐藤 弘毅

創業240年を超える武田薬品では、東京証券取引所およびニューヨーク証券取引所の両方に上場している唯一の製薬企業としてグローバル標準のガバナンスモデルを確立しています。取締役の約7割を独立社外取締役が占め、事業活動への助言・監督に必要なスキルに基づき構成されるほか、取締役会から経営会議体へ一定の権限移譲を行うことで迅速な意思決定を実現しています。また各委員会の独立性を高め、運営ルールを外部開示するなど、ガバナンスの実効性と透明性を高める取り組みも先駆的に実践されています。同社のコーポレートストラテジーオフィサー&CEOオフィス・佐藤様より、ガバナンス改革の取り組みと運営上の工夫についてご紹介いただきました。

参加者の声

  • グローバルな役員構成、仕組み等の先進的な取り組みが大変参考になりました。
  • 経営会議体の運営における実際の取り組みが特に参考になりました。
  • ボード運営が極めて難しいのではと思いました。

「<特別講演Ⅱ> グローバル標準のガバナンス」の様子

<パネルディスカッションⅡ> ガバナンス改革の方向性と未来

持続的価値創造を牽引する“攻めのガバナンス”の検証

アベノミクス下の成長戦略の一環として叫ばれてきた「攻めのガバナンス」。当初の目的から改革は進んだ一方で、昨今はESG・サステナビリティ対応の流れが世界的に加速し、さらなるリスクテイク促進の姿勢や投資家への積極的な関与が指摘されているのも事実です。今、改めて求められる成長のための「攻めのガバナンス」とは何か。社内取締役であり経営トップとして改革を実行されたTDK 石黒様、富士通をはじめ国内外企業の社外取締役を兼任されている阿部様、世界最大の投資会社であるブラックロック 江良様、そしてガバナンス/エンゲージメントの専門家である明治大学 三和先生を迎え、その現在地と課題、モニタリングボードと執行体のあり方、今後へ向けた展望について議論を深めました。

パネリスト
TDK株式会社 取締役会長 石黒 成直

富士通株式会社 独立社外取締役 取締役会議長、指名委員長
On Semiconductor Inc.(米 – Nasdaq上場) 米国本社取締役、監査委員
株式会社アドバンスト・ソリューションズ マネージング・パートナー 阿部 敦

ブラックロック・ジャパン株式会社 インベストメント・スチュワードシップ部長 マネージング・ディレクター 江良 明嗣

モデレーター
明治大学商学部 教授 三和 裕美子

参加者の声

  • 機関投資家の見方、社外役員との関係について大変参考になりました。
  • TDK 石黒様と富士通 阿部様のお二人が監査役会設置会社を敢えて選んでいることの説明をきちんとされていることに感銘を受けた。事務局の役割の重要性についても、励ましのメッセージと受け取った。ブラックロックの江良様のコメントも投資家の見方の参考になった。
  • 社内取締役、社外取締役、投資家の組み合わせが面白かったです。

「<パネルディスカッションⅡ> ガバナンス改革の方向性と未来」の様子

フォーラム全体の感想

  • 会社法の規定や役割名称にとらわれすぎずに実効性を追求する姿勢が、効果的なガバナンスにつながることを再認識できました。
  • 高い知見をお持ちのさまざまな方々からご自身の体験にもとづく貴重なお話を聞かせいただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。
  • 各講演・ディスカッションともに非常に示唆に富んだ内容であり、自社課題ともマッチしていました。
  • 取締役会の運営、会議体、社外取締役の連携等、諸課題についての各社独自の工夫した取り組みが大変参考になりました。実効性あるガバナンスの構築は終わりのないプロセスであり、それを支える事務局にも熱いパッションが必要と感じた次第です。
  • 取締役会事務局としては非常に興味深い内容でした。今後の参考にしたいと思います。

企画者からのコメント

このたびは「Corporate Governance Leaders 2022」へ、多くの皆様にご視聴を賜り、誠にありがとうございました。

そして開催にあたり、多大なるお力添えをいただきました素晴らしいご講演者の皆様、協賛企業のマーサージャパン、Diligentの皆様に、この場を借りて心からの御礼を申し上げます。

今後も引き続き、ビジネス・フォーラム事務局では、定期的なフォーラム開催、そして頂いた感想やご意見を通じて、皆様の課題解決へのヒントや新たな気づきをお届けできるような機会を企画し、情報発信を続けて参ります。

最新のセミナー情報はこちらよりご確認ください。

株式会社ビジネス・フォーラム事務局
プロデューサー 高田 紗生

※ご所属・お肩書は開催当時のものです。予めご了承くださいませ。