2024/12/19 (  木 )

Corporate Governance/Executive Leaders 2024 ショートレポート

Corporate Governance/Executive Leaders 2024 ショートレポート

Corporate Governance/Executive Leaders 2024
CxOとトップマネジメントチーム改革
~変革の実行力を強化する、強い執行体制のあり方~

開催日:2024年 10月 29日(火)

主催:株式会社ビジネス・フォーラム事務局

特別協賛:ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ

協賛:株式会社日本総合研究所

開催趣旨

日本企業のコーポレート・ガバナンス改革において執行と監督の分離が進みつつある中、監督側だけでなく、経営変革の実行を担う執行側の役割と機能強化といった「攻め」のガバナンスの動きが注目を集めています。

中でも、昨今問題視されている日本企業の低PBRの改善、そして多様で複雑化する経営課題に対応すべく、企業のトップマネジメントに求められる役割とその体制は、戦略的な変化が求められています。 このような環境変化の激しい時代に、いかに迅速かつ果断な経営判断ができるか、その“実行力”こそが、企業の変革実現と今後の持続的成長の巧拙を握る鍵となるのは言うまでもありません。攻めの経営の実行力を強化するためには、従来の枠組みを超えた新たなリーダーシップ、そして強いチームワークが必要です。実際、近年は多くの日本企業でCxO制の導入が進み、全体最適で機動的な意思決定ができるチーム体制への変更と権限委譲を進める動きが目立っています。

例年好評のCorporate Governance Leadersシリーズ。今年は、このような背景から、「CxOとトップマネジメントチーム改革」をテーマに、強い『執行体制』をつくるためのチーム体制やCEO・CxOの機能役割のあり方、サクセッションを含む人材戦略、意識改革など、様々な視点から考察。経営とガバナンスに深い知見をお持ちの各識者・ご経験者の皆さまとともに、実際の事例を交えながら、活発な議論が交わされました。

参加者の属性

≪部門≫
≪役職≫
 

<基調講演> グローバル潮流にみるCxOサクセッション

経営陣の潜在的リーダーシップの開発に向けて
~グローバル企業の取り組みからのヒント~

ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ
マネージングディレクター
グローバルケイパビリティリーダー
取締役会・CEOアドバイザリー部門共同代表
ジャスタス・オブライエン

  • グローバル企業がCxOサクセッションにおいて取り入れる視点
  • 候補者の潜在的リーダーシップに注目し開発する最新のアプローチ
  • 内部候補と外部候補の両方を対象としたパイプライン強化、選定、育成

近年、経営者及びトップマネジメントチームに求められる役割はより複雑化し、多様な経営課題への対応は、国内外問わず共通のテーマとなっています。日本企業では、コーポレート・ガバナンス改革の進展に伴い、CEOサクセッションへの注目が高まりつつあります。様々なリスクと向き合いつつ、同時に持続的成長を果たす上では、CEOのみならず、強い「トップマネジメントチーム」を組成するプロセスが重要です。本講演では、世界有数のグローバル企業におけるCxO・トップマネジメントチームのサクセッションの実例を紹介。そこで重要となる「候補者の潜在的リーダーシップの特定及び開発」、そして経営幹部の外部登用が活発に行われる米国の事例を基に、内部昇格との両方を対象としたパイプライン選定・育成プロセス、日本企業との比較などについて論じました。

「<基調講演> グローバル潮流にみるCxOサクセッション」の様子

Voice of attendees

「CEO、CXOのサクセッション、選定のプロセス、留意点を包括的に、また実際の事例からも語っていただき、大変参考になった。」

「取締役会におけるサクセッションプラン作成・実行の重要性を再認識出来た。」

「日本とグローバルの対比は示唆に富んでいた。」

「グローバルプラクティスにおけるリーダーシップアセスメント・開発の先進事例を学ぶことができた。」

ラッセル・レイノルズ・アソシエイツ
マネージングディレクター
グローバルケイパビリティリーダー
取締役会・CEOアドバイザリー部門共同代表
ジャスタス・オブライエン


ラッセル・レイノルズ・アソシエイツの取締役会及びCEOアドバイザリー部門の創設メンバーで、同部門の共同代表を務める。20年以上にわたり、米国の主要グローバル企業に対して、経営幹部の後継者計画と育成、CEOサクセッション、取締役会の実効性確保に向けた支援の実績を持つ。消費財、ヘルスケア、金融、テクノロジーなどの幅広い業界のグローバル企業に対してアドバイザリー業務を手掛ける。ブラジル、スペイン、英国などでの勤務経験を持ち、スペイン語とポルトガル語に堪能。コーネル大学英文学部卒業。オックスフォード大学で Philosophy and Politicsの修士号を取得。

<パネルディスカッションⅠ> CxO/経営人材の育成・選抜

経営人材パイプラインをいかに強化するか
~早期育成/選抜の戦略とスキル開発~

株式会社日立アカデミー
取締役社長
川村 肇

三菱マテリアル株式会社
執行役常務 CHRO
野川 真木子

(モデレーター)
京都大学経営管理大学院
教授
若林 直樹

  • 経営人材育成の取り組み
  • 後継者計画を踏まえた早期人材育成の工夫、CxOタレントプールの仕組み
  • トップマネジメントに求められるスキルのあり方

経営人材の計画的な育成・選抜戦略と仕組みは、企業の持続的成長に不可欠です。コーポレートガバナンス・コードでは、経営トップと経営陣の選解任・後継者計画が企業の重要事項と示されており、人材版伊藤レポート2.0でも、人的資本開示の一貫として「サクセッションプラン」に関連する項目の開示が求められています。特に、経営トップならびに重要な執行ポジションの後継者、そして将来の経営人材候補者のプールとその育成の指針の開示にあたり、各取組みの見直しを行っている企業も多いのではないでしょうか。本セッションでは、人的資本経営実践の要である経営人材の育成・選抜の戦略と仕組みについて、日立の経営人材育成・開発を担う日立アカデミーの川村様、そして三菱マテリアルCHROの野川様をお招きし、若林教授のモデレートのもと、実際の取組み事例をもとに、考察を深めました。

「<パネルディスカッションⅠ> CxO/経営人材の育成・選抜」の様子

「<パネルディスカッションⅠ> CxO/経営人材の育成・選抜」の様子

Voice of attendees

「各社実情に合わせたサクセッションプランを学ぶことができた。」

「タレントプール、ディベロップメントの先進的な事例を詳しく紹介いただき参考になった。」

「具体的な実践例のお話がとても参考になりました。やはり枠組みの設計と質の高い実行が両論と理解しました。」

「人事領域のCHRO(CPO)としての執行役を生み出す仕組みや考え方を知れたことは非常に学びになりました。」

「日系企業の変革にとって非常に示唆に富む、有益な視点をお示しいただいた。」

株式会社日立アカデミー
取締役社長
川村 肇


日立アカデミー取締役社長。早稲田大学政治経済学部を卒業後、1989年に日立製作所に入社し人事を担当。1999年GE、2005年コカ・コーラ、2009年モメンティブにて人事管理職を歴任し、2012年から再び日立の人財部門にて人財開発やグローバル人財戦略推進、鉄道部門・エネルギー部門の人事を担当。ニューヨークや上海、チューリッヒでの勤務経験を持つ。2024年4月から現職。

三菱マテリアル株式会社
執行役常務 CHRO
野川 真木子


一橋大学社会学部卒業後、花王にて営業、人事を担当。2001年ゼネラル・エレクトリックに入社。日本、アジア・パシフィック、中欧・東欧において複数事業部門の人事を担当。2012年日本IBM入社。IBM米国本社出向、グローバル・ビジネス・サービス事業担当人事執行役員を経て、2016年3Mジャパン執行役員人事担当。2021年4月、三菱マテリアル 執行役員人事部長に就任、2022年4月より執行役常務人事戦略担当、2023年4月より現職。

京都大学経営管理大学院
教授
若林 直樹


東京⼤学⼤学院社会学研究科修⼠課程修了。東京⼤学修⼠(社会学)。京都⼤学博⼠(経済学)。東北⼤学、京都⼤学の准教授を歴任。現在、京都⼤学経営管理⼤学院教授。専⾨は経営組織論、ネットワーク組織論。社会ネットワーク論の観点から企業組織やグループ企業のダイナミズム、レジリエンスと組織能⼒転換を研究。主著に『ネットワーク組織』、(有斐閣)など。⽇本経済新聞『経済教室』などで定期連載中。

<講演> 日本型CxO制

日本企業におけるCxO体制の構築 ~執行体制の強化に向けて~

株式会社日本総合研究所
理事
山田 英司

  • 日本企業の経営にマッチするCxO体制
  • 重要となるCxOアジェンダの設定
  • CxO体制を支えるコーポレート機能の再構築

一連のコーポレート・ガバナンス改革においては、監督機能の強化が中心でしたが、企業価値の創出は執行が担うものであることは言うまでもありません。そのため、近年では執行体制を強化するという目的からCxO体制への移行を進める企業が増加しています。その一方で、従来の経営体制からどのような変化があるのかについては曖昧であるという課題認識を有する企業も少なくありません。CxO体制の構築に際しては、①CxOそれぞれの役割明確化とアジェンダ設定、②CxOによる経営チームの再構成、③CxOを支えるコーポレート組織の再構築と強化、など様々な検討ポイントがあります。これらのポイントに留意しつつも、日本企業にマッチするCxO体制のあり方について解説しました。

「<講演> 日本型CxO制」の様子

Voice of attendees

「日本におけるCxO体制についての政府議論の現状、CxOが求められる背景、米英企業と日本企業のガバナンス・組織構造の違いについて、整理と理解が進みました。」

「CxO制度設計における検討事項が分かり易く、理解につながった。」

「日本におけるトレンドを、データを用いてわかりやすく説明いただき、勉強になった。」

「ガバナンスの監督側から価値が出るわけではないということは、よい視点だと改めて思いました。日本企業の内情がよくわかりました。」

株式会社日本総合研究所
理事
山田 英司


早稲田大学法学部卒業、英国国立ウェールズ大学経営大学院(MBA)、EUビジネススクール(DBA)修了。上場建設企業で現業部門を経験後、関係会社へ出向し企画・管理責任者として経営再建に従事。帰任後は本社にて連結経営管理・決算、グループ中期計画の策定を担当。2001年より現職にて、グループ経営、インフラ産業に関するコンサルティングに従事。住宅設備メーカー社外取締役(2018~現任)、早稲田大学理工学術院非常勤講師(2012~2023)。「ボード・サクセッション」(中央経済社、2021)など著書多数。

<パネルディスカッションⅡ> トップマネジメントチーム改革

強い経営チームの要件
~経営の実行力を強化する執行体制とガバナンスとは~

株式会社INCJ 代表取締役会長 兼 CEO
元・日産自動車 COO(最高執行責任者)
志賀 俊之

アサヒグループホールディングス株式会社
取締役会長 兼 取締役会議長
小路 明善

(モデレーター)
株式会社日本総合研究所
理事
山田 英司

  • CxO体制・経営チームのあり方と機能強化
  • 経営会議の実効性を高めるには ~押さえておくべきアジェンダの再整理、意識改革 など
  • 執行と監督(社外取締役)間のコミュニケーション

強い企業づくりには、執行側の機能強化が欠かせません。変革とガバナンスの実効性を担保するためにも、執行側つまりトップマネジメントの意識と覚悟、そしてそれを支える強いチーム作りが必要です。近年の経営学でも、トップマネジメントチームのあり方が企業の業績に影響するとの研究結果が見られます。そこで、本セッションでは、改めて、強い経営チーム・執行体制の要件とは何か、実際のご経験に基づくお話しをもとに、執行と監督両側の視点を踏まえ、検証。日産自動車COOや武田薬品工業の社外取締役などを務められてきた志賀様、ガバナンスならびに執行体制の改革を積極的に進めてこられたアサヒグループホールディングス小路様をお招きし、日本総研 山田様のモデレートのもと、執行の機能強化とCxO体制に対する提言、今後の方向性などについて、意見を交わしました。

「<パネルディスカッションⅡ> トップマネジメントチーム改革」の様子

「<パネルディスカッションⅡ> トップマネジメントチーム改革」の様子

「<パネルディスカッションⅡ> トップマネジメントチーム改革」の様子

Voice of attendees

「お二人の豊富なご経験と広い知見からのCxOに対する考察は、大変勉強になりました。自社のCxO体制を考える上でも大変有益なインプットとなりました。 」

「CEOを支えるCXOというチームの重要性を、お話を聞いてより強く認識しました。」

「組織構造やCxO体制、さらに経営とは何かを考える機会になった。」

「経営の切々としたリアリティを感じ、実践に生かしたいと思います。」

「CxO導入の二社の実例およびパネリストお二人のCxO要件・マネジメントチームのあるべき姿についてのお考えが大変学びとなりました。自社としてどのように捉えるべきか、考えるベースをいただいたと感じます。」

株式会社INCJ 代表取締役会長 兼 CEO
元・日産自動車 COO(最高執行責任者)
志賀 俊之


和歌山市生まれ、大阪府立大学卒業後、1976年日産自動車に入社。1999年ルノーとのアライアンス締結に関わり、企画室長及びアライアンス推進室長を兼務。日産リバイバルプランの立案・実行に参画し、2000年46歳で常務執行役員に就任。2005年から2013年11月代表取締役副会長に就任するまで、最高執行責任者(COO)を務めた。2015年6月官民ファンド・産業革新機構(現INCJ)代表取締役会長に就任し、現在に至る。

アサヒグループホールディングス株式会社
取締役会長 兼 取締役会議長
小路 明善


1975年アサヒビール社入社、2001年同社執行役員。2003年アサヒ飲料社へ転籍、常務取締役企画本部長として、経営戦略・人事戦略・事業計画推進など、幅広く業務経験を経て2007年アサヒビール常務取締役執行役員、2011年同社社長に就任。2016年アサヒグループホールディングス社長に就任。2021年同社取締役会長兼取締役会議長。2022年6月より一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)副会長に就任。

企画者からのコメント

このたびは「Corporate Governance/Executive Leaders 2024」へ、多くの皆様にご参加を賜り、誠にありがとうございました。

そして開催にあたり、多大なるお力添えをいただきました素晴らしいご講演者の皆様、ご協賛いただきましたラッセル・レイノルズ、日本総合研究所の皆様に、この場を借りて、心からの御礼を申し上げます。

今後も引き続き、ビジネス・フォーラム事務局では、定期的なフォーラム開催、そして頂いた感想やご意見を通じて、皆様の課題解決へのヒントや新たな気づきをお届けできるような機会を企画し、情報発信を続けて参ります。

最新のセミナー情報はこちらよりご確認ください。

「Corporate Governance/Executive Leaders 2024」の様子

株式会社ビジネス・フォーラム事務局
プロデューサー 高田 紗生