CDOに必要なこと、CDOのイメージを変える
神岡: CDOには、今までのやり方にこだわらない、ある種の嗅覚といったものが必要と思うのですが、どうでしょうか?
岩野: 確かにそうだと思います。そして、一人じゃ何もできないということですね。CDOはコミュニティーで働く仲間が喜びを感じる場を作る、みたいなところがあるんじゃないかと。そしてその人たちが次の世代を作っていく。私が人を採用する時の条件があります。それは、1番目にまず優秀であること。2番目に志が高いこと。3番目は人柄がいいこと。この3つがあると、いいチームができるなという感覚があります。大組織の中でも、中学生の運動部みたいな感じだと思います。そういう厳しいけれども小さく、楽しくて仕方がないチームがいくつかできていく感じになるんじゃないかと思っています。
長瀬: 成果を出すスピードは重要だと思っています。リザルトドリブンなのは共通してあると思います。ただ単にビジョンだけを語っているのではなく、実はものすごく数字にストイックであること。僕は少なくともそうです。リザルトアウトプット、目に見える形で出すということもテクニックとしてあります。デジタルに関わっている以上、そういうものは確実にあると思います。
楢﨑: 物事を知っている奴をいかに多く知っているか。顔の世界なんです。大企業も基本は一緒だと思います。社内で、あいつら面白くてすごく楽しいことをやっているなと思わせる。スモールスタート、スモールサクセスで、「デジタルって少しわかりかけてきた。そして楽しい。もっと話をしろ。もっといろいろ見せろ」となる。そこに尽きるのかなと思います。
柿崎: 抵抗されるとうれしくなってしまうみたいなところがあって、抵抗されるものじゃないと新しいものをやっている気がしないというところがありますね。だから何かマーケティングをやると、営業から言われるんです。抵抗されるから少しへこむ。「それがいいんだ。抵抗されているんだから、何か新しいことに取り組んでいる」と思ったほうがいいということでやっています。
堀内: 変化の時代にデジタルがものすごく重要だから、そのデジタルというところにフィーチャーされているようですけれども。皆さんのお話を聞いていると、新しいビジネスとか、変化を起こしていくのにチームが必要というのは共通して変わらないのだなと今思いました。
長瀬: ひとつ言えるとすれば、CDOはすごく泥臭いですよね。人間臭いというか。ネットワークが重要ですし、結局、人と人とのビジネスなので、人間力が相当問われます。それを持っている人は、自然に人に好かれます。見た目で好かれることもけっこう重要だなと、CDOになってみてわかったところです。
神岡: デジタルは敵ではなく、人間的な側面が大きいということですね。ITにはちょっと暗いイメージがあると思いますが、実はデジタルは明るいんだ、という印象を会社の中に植え付けることがけっこう重要でしょうか?その辺はうまくいっていますか?デジタルはどういう印象を持たれているのでしょうか?
岩野: みんな、ニュースメディアを通して変なイメージを持っちゃっていますね。AIが人間を凌駕するみたいな。「その旗を振る奴が来た」みたいなイメージでCDOは見られているわけです。でもCDOはけっこう泥臭く、相手の話を聞くフェーズから行きます。そうすると何か変わってきます。「こいつら、話せるんだ」みたいな。
長瀬: 私の立場だと下に事業部があって各ブランドがあるんですけれども、横串になってCDOをやる人間としては、それらのブランドのビジネスをよく分かってあげなければいけないのは大前提ですね。例えば、「CDOが来た。メディアを全てデジタルに変える」、そんなイメージなんです。でも、そうじゃないんです。ちゃんと相手のビジネスとか本質を捉えて何がいいかを判断することが、けっこう我々人間味のあるCDOとしての役割じゃないかと思っています。