2024/05/08 (  水 )

持続可能なサプライチェーン・マネジメント2024 開催ショートレポート

持続可能なサプライチェーン・マネジメント2024 開催ショートレポート

持続可能なサプライチェーン・マネジメント2024
ESG経営の時代にサステナビリティの観点から求められる、
企業のこれからのSCM戦略のあり方

開催日:2024年 3月26日(火) オンライン配信

主催:株式会社ビジネス・フォーラム事務局

ゴールド協賛:エコバディス・ジャパン株式会社

シルバー協賛:株式会社Hacobu

開催趣旨

昨今の気候変動や生産・物流の制約、地政学リスク、人権問題など、数多くのトピックを企業が抱えている中で、サプライチェーン・マネジメントにおいても、様々な課題が顕在化・複雑化しています。これからの企業のマネジメントにおいて、ステークホルダーを中心に、SCM戦略をESG経営の中核の一つとして重視し、より強靱性やサステナビリティを高めていくとともに、ビジネスチャンスを拡大、企業体質を強化し、企業価値を高めていくことが求められています。

しかしながら多くの企業では、こういったサステナビリティの考えとSCM戦略を共創させていくには、いくつかの壁が存在し、経営視線と現場の観点の相違、調達部門におけるESG経営に対する知見不足、サプライチェーン全体を可視化できていない、物流における人権問題など、多くの課題を抱えている状況にあります。企業は、これらの懸念事項を一つ一つ解決し、自社の目指すビジョンや戦略を広く示していく必要があるのではないでしょうか。

今回の「持続可能なサプライチェーン・マネジメント2024」では、ESG経営の時代にサステナビリティの観点から求められる、企業のこれからのSCM戦略のあり方を中心に考察してまいります。事例講演として、経営戦略とサステナビリティを統合した持続可能なサプライチェーンの実現、物流における同業種や異業種との連携、グローバルでの強靭なサプライチェーン構築について紹介いただきます。協賛講演では、サステナブル・サプライチェーン管理、データドリブン・ロジスティクスについて、パネルディスカッションでは、バイヤー・サプライヤーとの関係を強固にするSCM戦略について議論いただきます。

参加者の属性

≪業種≫
≪部門≫
≪役職≫
 

<事例講演1> 経営戦略とサステナビリティを統合した持続可能なサプライチェーンの実現

ブリヂストンのサステナビリティの実現に向けた取り組み

株式会社ブリヂストン
グローバルサステナビリティ戦略統括部門 統括部門長
稲継 明宏

ブリヂストングループは、長期的に環境、社会、経済をよりよくしていくため、1.透明性、2.コンプライアンス、3.QCD(品質、コスト、供給)& イノベーション、4.持続可能な調達活動のこれら4項目をサプライチェーン全体に浸透させていくことで、調達活動を通じ持続可能な社会と価値創造を実現することをミッションに掲げ、誠実に取り組んでおられます。本講演では、これらを踏まえた上でのサステナビリティの実現に向けた取り組みについて、ご紹介いただきました。

Voice of attendees

「サプライチェーンの煩雑さと、若手の現地調査の部分が興味深かった。」

「天然ゴムは各作物の中でも特に特殊な事例と思いました。」

「講演に興味があった」

「<事例講演1>」の様子

株式会社ブリヂストン
グローバルサステナビリティ戦略統括部門 統括部門長
稲継 明宏


2004年、ブリヂストン入社。環境宣言のリファイン、環境長期目標の策定など、環境戦略策定に従事。2015年よりグローバル全体のCSR戦略企画を推進。2018年に経営企画部長としてグローバル本社の経営企画業務を担当した後、2019年からはグローバル全体のサステナビリティ戦略を主導している。

<ゴールド協賛講演> サステナブル・サプライチェーン管理

サステナブル・サプライチェーン管理の重要性
– サプライチェーン全体のサステナビリティの改善と向上

エコバディス・ジャパン株式会社
代表取締役
若月 上

EcoVadisは、企業が自社とバリューチェーン内のサステナビリティパフォーマンスを向上させ、リスク・コンプライアンス管理とサステナビリティ目標を達成することで“インパクト”(結果や社会・環境への貢献)を生み出すことを支援し、グローバルブランド企業から大手企業、中堅企業を含めた1,000以上の企業にサプライチェーン内のサステナビリティ評価、および管理ソリューションを提供しています。本講演では、サステナブル・サプライチェーン管理の重要性について、説明いただきました。

Voice of attendees

「全体像がわかる大変わかりやすい説明だった。」

「ESG対応についての理解が深まった。」

「自社の質問表でサステナブル評価することの限界を再認識できました。」

「<ゴールド協賛講演> サステナブル・サプライチェーン管理」の様子

エコバディス・ジャパン株式会社
代表取締役
若月 上


米国議決権行使助言およびコーポレートガバナンスのコンサルティング・ファーム日本法人代表、ムーディーズ・A・カンパニー日本法人代表を経て、2019年1月にエコバディス・ジャパンを設立。専門はコーポレートガバナンスおよびSRI。

<事例講演2> 物流における同業種や異業種との連携

みんなでWIN-WIN-WIN!ムリなく続くサントリー物流を目指して

サントリーホールディングス株式会社
サプライチェーン本部 物流部部長 兼 戦略部部長
大泉 雪子

サントリーグループは、人手不足やさらなる物量の増加など、物流を取り巻く環境の変化への対応として、「スマートロジスティクス」の取り組みを進め、先端技術の活用や各企業・自治体との連携による、安全・安心で持続可能な物流の実現を目指しておられます。本講演では、企業の枠を超え、物流全体を俯瞰した上で、ムリなく、『みんながWIN-WIN-WIN』となる、他荷主との共同輸送・同業種・異業種との物流連携、そして何よりも物流現場の負荷を減らすことを荷主が真剣に考える大切さを、ご紹介いただきました。

Voice of attendees

「地道な活動の継続が重要であることが変わらない点に共感を覚えた。」

「難しい課題に対し現場重視の取り組みに共感しました。」

「事例も含めとても内容が分かりやすく、自社展開に向けたヒントになりました。」

「<事例講演2> 物流における同業種や異業種との連携」の様子

サントリーホールディングス株式会社
サプライチェーン本部 物流部部長 兼 戦略部部長
大泉 雪子


1996年入社。人事部を経て、洋酒事業部・食品事業部でブランドマネジメント及び宣伝業務に携わる。2013年サントリー食品インターナショナル株式会社ブランド戦略部課長、2015年同社ロジスティクス推進部(現SCM部)課長を経て、2020年4月より、サントリーホールディングス株式会社物流部部長に就任。物流戦略を担当している。

<シルバー協賛講演> データドリブン・ロジスティクス

Hacobuが目指すデータドリブン・ロジスティクスの世界

株式会社Hacobu
取締役 執行役員COO
坂田 優

Hacobuは、データにもとづき現実を直視し、変化する外部環境に対し最適化し続ける新しい物流の在り方を「データドリブン・ロジスティクス」と呼び、物流における社会課題を解決する鍵だという信念のもと、物流現場のデジタル化推進ならびにデータ活用による物流変革に取り組まれています。本講演では、事例を交えながら企業間物流における課題や、データでどのように解決していくかについて解説をいただきました。

Voice of attendees

「物流情報プラットフォームについて、分かりやすく説明いただいた。」

「今の物流がどうなっているかデータにもとづき、最適化し続けることが重要だと感じた。」

「<シルバー協賛講演> データドリブン・ロジスティクス」の様子

株式会社Hacobu
取締役 執行役員COO
坂田 優


2008年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学部卒業。野村證券にて、債券・デリバティブ商品を中心に金融法人向けの営業を担当後、財務部門にて債券の発行等による資金調達業務やキャッシュマネジメントシステムの導入プロジェクトに従事。2014年よりA.T.カーニー東京オフィス及びロンドンオフィスにて、主にインフラ、通信・メディア・テクノロジー、金融領域における事業戦略策定、業務改革プロジェクト等に参画。2016年Hacobuに参画。

<事例講演3> グローバルでの強靭なサプライチェーン構築

持続可能で強靭なサプライチェーン構築の取り組み

株式会社レゾナック
エレクトロニクス事業本部 グルーバルSCMセンター 副センター長
井深 栄治

経済安全保障の観点から重要物資に位置づけられる半導体は、近年、そのサプライチェーンがグローバルに広がっているため、地政学的対立などによるサプライチェーンの途絶リスクが顕在化しています。その中で、レゾナックは、半導体材料の生産や出荷等に関する情報の一元管理・可視化を目的に、サプライチェーン・マネジメントシステムの構築を進めておられます。本講演では、持続可能で強靭なサプライチェーン構築の取り組みについて、ご紹介いただきました。

Voice of attendees

「SCM関係システムの刷新は弊社でも取り組んでおり、レゾナック様の取り組みや工夫した点などが参考になりました(BOM逆引き機能の導入が現場からは要望あった点など)。」

「システム面での課題など、自社と共通する部分が多く、それに地道に取り組まれている点に共感を覚えた。」

「導入システムの内容、エクセル作業からの転換など、具体的な内容で貴重な情報になりました。」

「<事例講演3> グローバルでの強靭なサプライチェーン構築」の様子

株式会社レゾナック
エレクトロニクス事業本部 グルーバルSCMセンター 副センター長
井深 栄治


大学卒業後ソニー株式会社にてケミカル部門のサプライチェーン構築、経営企画などを歴任。2021年にレゾナックに入社、半導体材料事業のサプライチェーン強化による顧客サービス向上を目指す。適切な業務プラットフォームを設けてDXツールによる可視化・高度化に取り組む。SEMI SCM Industry Advisory Council 委員。

<パネルディスカッション> バイヤー・サプライヤーとの関係を強固にするSCM戦略

バイヤーとサプライヤーが一体となったSCM戦略の構築

名港海運株式会社
常務執行役員
山口 淳

株式会社 日立ハイテク
サプライチェーンプラットフォーム統括本部 SCレジリエンス推進本部
SCPaaS開発推進部 部長
矢島 将俊

特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会™
名誉理事長
上原 修

  • 近年の調達環境を取り巻く変化~サプライヤー企業が供給先を選ぶ時代
  • サプライヤーから優先して供給してもらえる関係づくり
  • バイヤーによるサプライヤーの評価・取り組みに加え、双方向での評価や取り組み、共有・共感
Voice of attendees

「上原先生の仰っていた兼務と給与の考え方のバランスが日本は遅れているという部分はその通りと感じました。」

「QCDでの調達は昭和の考え、その上にESGがあり、それがサステナブル調達に繋がる。」

「調達部門の海外企業におけるポジションが明確に分かった。併せてまだまだ日本企業における調達部門への評価が低いことが問題。」

「<パネルディスカッション> バイヤー・サプライヤーとの関係を強固にするSCM戦略」の様子

「<パネルディスカッション> バイヤー・サプライヤーとの関係を強固にするSCM戦略」の様子

名港海運株式会社
常務執行役員
山口 淳


1985年4月 当社入社。倉庫運営業務、国際複合輸送部、航空貨物部、MEIKO EUROPEにて国際物流の一連業務に携わる。2014年4月 営業第2部長 就任。2015年6月 取締役営業第2部長 就任。2021年6月 常務取締役兼営業第2部長 就任。2023年6月 常務執行役員(現任)就任。営業部及び物流センター統括部 管掌執行役員。

株式会社 日立ハイテク
サプライチェーンプラットフォーム統括本部 SCレジリエンス推進本部
SCPaaS開発推進部 部長
矢島 将俊


2000年日製産業(現日立ハイテク)入社。通信機器の輸入販売、海外調達支援、ラボロボットシステムの開発、ドイツ/トルコ駐在等、商事事業の新規事業開発を経て、2022年より現職。工場とサプライヤを繋ぐITプ ラットフォーム、アプリケーションサービスの開発に従事。

特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会™
名誉理事長
上原 修


2000年日製産業(現日立ハイテク)入社。通信機器の輸入販売、海外調達支援、ラボロボットシステムの開発、ドイツ/トルコ駐在等、商事事業の新規事業開発を経て、2022年より現職。工場とサプライヤを繋ぐITプ ラットフォーム、アプリケーションサービスの開発に従事。

『CPO が存在しない企業は持続可能な調達はできない』
詳細はこちらをご確認ください

フォーラム全体の感想

Voice of attendees

「資料を事前ダウンロードできたため理解が深まった。」

「PSI管理、在庫の適正化、安定的な製品供給と顧客満足の向上が重要であると感じた。」

「企業のサプライチェーン強靭化が必要不可欠である。」

「業務の都合上、視聴できなかったため、オンデマンド配信で視聴します。」

「総じて満足。」

「もっとサプライチェーン・マネジメントの具体的手法、課題、成功(失敗)事例について討論が必要。」

「本日は貴重なご説明をいただきありがとうございました。資料を配布してくださったことで講演がより視聴しやすかったです。」

企画者からの御礼

株式会社ビジネス・フォーラム事務局
企画担当 迫田

この度は「持続可能なサプライチェーン・マネジメント2024」のご視聴をいただき、またショートレポート記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。

昨今、「持続可能なサプライチェーン・マネジメント」の重要性が話題にあがる中で、ご講演者の皆様の力をお借りする形で、対外的に弊社としてのメッセージを発したい思いから、弊社主催という形で、企画・開催をさせていただきました。気候変動や生産・物流の制約、地政学リスク、人権問題など、数多くのトピックを企業が抱えている中で、SCM戦略をESG経営の中核の一つとして重視し、より強靱性やサステナビリティを高めていくことは、ビジネスチャンスを拡大、企業体質を強化し、企業価値を高めていくことに繋がると認識しております。そのための一助として、当フォーラムの内容が、皆様のビジネスに少しでもお役に立てていただけますと幸いです。

ビジネス・フォーラム事務局では、これからも様々なテーマで皆様に関心いただき、課題解決につながるフォーラムを企画し、情報発信してまいります。お役に立てる機会がありましたら、是非、ご参加いただきますようお願いします。

改めて、この度は「持続可能なサプライチェーン・マネジメント2024」にご参加いただき、また初期の段階から企画に賛同いただき、ご協力をいただいた、ご講演者様、協賛各社の皆様へ心より御礼申し上げます。

どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。