サプライチェーン・マネジメント・フォーラム2023
持続的な価値の創出に向けた、強い調達網の構築
~ 現場と一体となった取り組み
開催日:2023年11月29日(水) オンライン配信
主催:株式会社ビジネス・フォーラム事務局
ゴールド協賛:PwCコンサルティング合同会社
シルバー協賛:キナクシス・ジャパン株式会社
開催趣旨
予期せぬ自然災害やパンデミック、地政学リスクに伴う供給網の途絶など、企業がサプライチェーンを維持していくためには様々な課題が存在します。近年、特にステークホルダーによってサステナビリティや企業価値の向上が求められている中で、経済産業省から本年、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」も公表され、企業が、サプライチェーンにおけるリスクを洗い出し、一つ一つ解決した上で、サプライチェーンを確立していくことは、企業が持続的な活動を行う上で重要なポイントにあげられています。
しかしながら、社内外においてグローバルで複雑に広がるサプライチェーンを管理し、適切にマネジメントしていくのは容易なことではありません。世界と比べて日本企業のSCMは大きく遅れをとっていると言われている中で、企業にはサプライチェーンの大幅な見直しが迫られており、今後はさらに現場が一丸となって体制や風土改革・仕組みを刷新・再構築や、環境への配慮を含め、VUCAの時代を勝ち抜いていくための強固なマネジメント体制の構築が求められます。
今回の「サプライチェーン・マネジメント・フォーラム2023」では、持続的な価値の創出に向けた、強い調達網の構築をテーマに、専門家・有識者や先進的に実践されている企業役員・リーダーの方々からの講演やパネルディスカッションを通じ、事例の紹介や解決法・それぞれのお立場よりメッセージをいただきました。
参加者の属性
<基調講演> 持続可能なサプライチェーンを考える
SDGsを基礎とするグローバルサプライチェーンのあり方
特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会™
名誉理事長
上原 修 氏
サプライチェーンが地球規模に拡大していくにつれて、国際紛争や戦争に巻き込まれる可能性が増えてきています。近い将来、日本企業は、企業理念・使命(vision/mission)、及び存在価値を見つめ直し、企業幹部内で、自然災害、感染症ウイルス、戦時下における地政学的リスクの情報を収集し、分析し、サプライチェーンのレジリエンス化に向けた企業全体のガバナンスを考えるべきです。特に、海外で事業を続けている企業人は、自社のサプライチェーン内の全ての利害関係者の人権、労働環境、多様性を尊重することが求められており、このようなトピックを中心に解説をいただきました。
「全体像が分かって良かった。」
「多くが知っている内容でしたが、参考になりました。」
「基調講演として、分かりやすい説明でした。」
特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会™
名誉理事長
上原 修 氏
大学卒業、フランス政府留学終了後、日本鉱業株式会社(現ENEOS・JX金属株式会社)にて購買運輸部に勤務、コンゴ鉱工業開発会社へ出向しザイール(現コンゴ民主共和国)駐在、東京本社購買部国際購買担当主席参事、日本鉱業サンフランシスコ事務所、ニューヨーク事務所にて所長歴任。外資系電子調達企業にて常務執行役員・購買本部長を経て、米サプライマネジメント協会(Institute for Supply Management®)日本代表に就任。MBA経営情報学修士。米グローバルANSI購買資格(C.P.M.) 及びグローバル調達経営資格(CPSM)取得。国土交通省通訳案内業免許取得。フランス政府留学ポアチエ大学Diplome学位取得。企業留学仏ブザンソン大学文化教養学部終了Diplome学位取得。 一橋大学伊藤研究室ビジネススクール修了。
<ゴールド協賛講演> 変化・リスクに強いサプライチェーンに向けた改革
サステナビリティなSCM構築に向けてのDynamic Digital Supply Chain改革
PwCコンサルティング合同会社
マネージングディレクター/執行役員
藤沢 賢二 氏
近年、世界的な新型コロナウィルスの拡大、ロシア・ウクライナ戦争の勃発、自然災害の甚大化、米中の関係悪化など世の中の不確実性が高まるなか、競争力維持のためには、変化に強いサプライチェーンの構築が急務となっています。サプライチェーン改革において、経営インパクトや実現性等を統合的に勘案し、必要なアクションについて紹介いただきました。
「SCリスクの多様化について改めて考える必要があると思いました。」
PwCコンサルティング合同会社
マネージングディレクター/執行役員
藤沢 賢二 氏
30年以上にわたってサプライチェーンを軸に製造、ヘルスケア、コンシューマ、リバースロジスティックスによる補償モデル構築、Eコマース、ハイテク関連のポストセールスのサービスモデルを構築。調達から生産・物流まで一気通貫でサプライチェーン構築及びそれを支えるITシステムの刷新、グローバルでのサプライチェーン戦略の立案、実行。海外駐在歴:アジア(シンガポール、台湾) アメリカ(テキサス、フェニックス)。Fortune500 外資系及び日経一部上場会社にてSC&L 日本代表を務める。
<事例講演1> グローバルものづくりと強靭なサプライチェーン構築
ダイキン工業におけるグローバルものづくりを支えるサプライチェーンマネジメント
ダイキン工業株式会社
執行役員 グローバル調達担当
竹内 牧男 氏
ダイキン工業は、「空調」「化学」「フィルタ」を柱に事業を展開され、グループ会社数として、連結子会社347社(国内30社、海外317社)、グローバルを中心に事業を拡大し、2010年から2019年まで10期連続増収、2021年度はコロナ前の業績を上回りV字回復、最高業績を更新されています。当講演では、空調事業における強靭なサプライチェーンの構築について、コロナ発生以降の取り組みやグローバルパートナーとの戦略的協業、人財育成の課題など、お話しいただきました。
「非常にわかりやすく、内容も深く、勉強になりました。」
「サプライチェーンを根気強く調査し、業務改善に生かす方針に、実務上の大変さを思うと驚きました。」
「徹底した可視化の取り組みが大変参考になりました。」
「サプライヤー管理状況、特に、平均Tier数まで把握されていることに驚きました。」
ダイキン工業株式会社
執行役員 グローバル調達担当
竹内 牧男 氏
1986年3月 三重大学 工学部卒業。1986年4月 ダイキン工業株式会社に入社。2005年 7月 空調生産本部 品質管理部 担当部長。2007年7月 空調生産本部 商品開発グループ 主席技師。2008年10月 空調生産本部 購買部長。2012年6月 グローバル調達本部長。2015年6月 空調生産本部 副本部長(商品開発担当)。2016年6月 執行役員就任 グローバル調達担当 現在に至る。
<シルバー協賛講演> 持続可能なサプライチェーン構築・競争力向上
競争力を高める持続可能なサプライチェーンの構築 RapidResponseのご紹介
キナクシス・ジャパン株式会社
日本法人社長
金子 敏也 氏
サプライチェーンを取り巻く環境は近年、特に複雑さを増しており、円安、資源不足、物価高など多くの課題に直面し、企業は、これまで以上に迅速に、適切な判断を行っていくことが求められています。当セッションでは、『持続可能なサプライチェーンの構築とデジタルトランスフォーメーションの実現』を目指す上で、複雑化したサプライチェーン全体をいかに高速に可視化し、需給の急激な変動に際しても即座に対応していくための一助となる、SCM・S&OPソリューションについて紹介いただきました。
「サービスもさることながら、企業自体が興味深いです。」
キナクシス・ジャパン株式会社
日本法人社長
金子 敏也 氏
2010年10月に日本法人代表取締役社長としてキナクシスに入社。20年以上に及ぶエンタープライズソフトウエアのビジネスに携わる。現在キナクシス・ジャパンの販売戦略全般を担当し、キナクシスの日本国内ビジネスの確立に向けて全力で対応。キナクシスに入社する前はSAPジャパンにてハイテク製造担当バイスプレジデント、またサプライチェーンソリューションの先進プロバイダであったi2 Technologies社ではマネージングダイレクターを、さらにそれ以前には設計CADシステムにおいて革新的なテクノロジを保有するParametric Technology社の日本法人でジェネラルマネージャを歴任するなど、製造業をベースとして多くのエンタープライズソフトウエアのビジネスで成功を収める。目標は日本国内でのパートナー協業を軸として顧客に付加価値を提供することであり、日本法人およびグローバルのスタッフと共に付加価値の最大化に尽力している。
<事例講演2> サプライチェーンにおける「水平連携」「垂直連携」「斜め連携」
味の素における持続可能なサプライチェーンの構築
~同業他社、サプライチェーン全体、そして国や業界団体をも巻き込んだ連携
味の素株式会社
食品事業本部 物流企画部長
森 正子 氏
味の素は、アミノ酸の研究を起点として、アミノサイエンス®を軸に成長し、全世界で3万人を超えるグループ従業員と共に、7億人を超える生活者に商品を提供されています。当講演では、「物流業界の2024年問題」に対して、早い段階から加工食品物流における持続可能性に焦点を当て、多くの関係者を巻き込む「水平連携」「垂直連携」「斜め連携」の各構築を推進し、更なる加工食品物流プラットフォームの構築に向けた取り組みについてお話しいただきました。
「共同物流のネックである、利益の偏りについて、かなり危険予知をされ、同じ目標をサプライチェーン関係全員で持つというやり方に感銘を受けました。素晴らしい取り組みと思います。また人財についても、同じく、サプライチェーン、サプライチェーン外、マネジメント人財など必要な人財を体系化されているのも素晴らしかったです。」
「取り組みのイメージを感じるほどプレゼンが上手く、内容も充実しており、学びになりました。」
「製配販連携協議の際にご一緒している仲間であり、活動内容を説明頂けたことが良かったです。」
「F-LINEプロジェクトのような連携を主導していることに非常に驚くと共に凄いことをされていると感心した。」
味の素株式会社
食品事業本部 物流企画部長
森 正子 氏
1993年 味の素入社(入社以来、物流関係業務従事)。2015年11月~ F-LINEプロジェクト参画。2017年3月~2019年3月 F-LINE株式会社準備室 出向。2019年4月~2021年3月 F-LINE株式会社出向。2022年7月 食品事業本部 物流企画部 物流基盤グループ長。2023年7月 食品事業本部 物流企画部 部長。現在に至る。
<パネルディスカッション> サプライチェーンと人権・環境問題
SDGsを基礎とするグローバルサプライチェーンのあり方
パネリスト
曙ブレーキ工業株式会社
Executive Leader, Deputy Responsible for Asian Operations(アジア事業副責任者)
金澤 東彦 フランソワ 氏
パネリスト
タイド経営事務所代表
(東京都中小企業診断士協会所属)
元JX金属株式会社 工場長、元株式会社丸運 常務執行役員
幾島 潔 氏
パネリスト
PwCコンサルティング合同会社
マネージングディレクター/執行役員
藤沢 賢二 氏
モデレーター
特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会™
名誉理事長
上原 修 氏
- 責任あるサプライチェーン経営を優先するために必要な要素
- 供給網サプライチェーン、人権・環境を重視
- 供給網の人権対応、ILOが国際ルール整備に意欲
- 企業の人権侵害、供給網で把握・改善 政府が指針作成
- 人権デューデリ、苦悩の企業 サプライヤーの先の先に死角あり
「どちらかというと環境問題については少なく人権問題や2024年問題が中心だったため、良い意味で興味深かった。」
「もう少し、環境配慮に寄った内容を想像していたため、少し不満だった。」
「情報収集につき、まずは理解に努めます。」
曙ブレーキ工業株式会社
Executive Leader, Deputy Responsible for Asian Operations(アジア事業副責任者)
金澤 東彦 フランソワ 氏
2004年(仏)ENSTIBグランゼコール(工学修士)、ロレーヌ大学(材料科学修士)卒業。フランスの大手自動車部品メーカーへ入社し研究開発、技術営業を担当し、2012年曙ブレーキ工業入社。アメリカで生産管理、ベトナムとフランスで支社長を務め現在に至る。社会人としてINSEADビジネススクール(MBA)、(仏)国立東洋言語文化学院(東洋学修士)卒業。
タイド経営事務所代表
(東京都中小企業診断士協会所属)
元JX金属株式会社 工場長、元株式会社丸運 常務執行役員
幾島 潔 氏
JX金属株式会社にて電子部品や自動車部品用機能材料の生産技術、生産管理、新規開発、量産化を国内および米国各サイトで担当。その後工場長として工場統括管理、並行して海外子会社(フィリッピン)立上げを支援した。株式会社丸運ではリサイクル事業関連子会社のトップとして経営に従事後、事業部長として新規事業の統括管理。産業技術大学院大学終了 創造技術修士(専門職)取得。その他中小企業診断士、エネルギー管理士等。
フォーラム全体の感想
「共感が持てる部分もあり、良かったです。」
「実際の各社サプライチェーン管理に関して参考になりました。」
「情報をアップデートいただき定期開催いただきたい。」
「事業継続としてサプライチェーンマネージメントがとても重要だと思っている。」
「モノづくりを支えるサプライチェーンの構築に関して非常に参考になった。」
「開催いただいたことがありがたく、これからアーカイブを視聴する予定です。」
「業務に役立つヒントをいくつかもらいましたので意識して取り入れたいと思います。」
「今後サプライチェーンの考え方や他社様の取組事例を拝聴し大変参考なりました。ありがとうございました。」
企画者からの御礼
株式会社ビジネス・フォーラム事務局
企画担当 迫田
この度は「サプライチェーン・マネジメント・フォーラム2023」のご視聴をいただき、またショートレポート記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。
昨今、多くの場において、「サステナブル・サプライチェーン」の重要性が話題にあがる中で、ご講演者の皆様の力をお借りする形で、対外的に弊社としてのメッセージを発したい思いから、弊社主催という形で、企画・開催をさせていただきました。多くの企業において、経営と現場が一体となり、持続的な価値の創出に向けた、強い調達網の構築していくことは永遠の課題であると認識しております。そのための一助として、当フォーラムの内容が、皆様のビジネスに少しでもお役に立てていただけますと幸いです。
ビジネス・フォーラム事務局では、これからも様々なテーマで皆様に関心いただき、課題解決につながるフォーラムを企画し、情報発信してまいります。お役に立てる機会がありましたら、是非、ご参加いただきますようお願いします。
改めて、この度は「サプライチェーン・マネジメント・フォーラム2023」にご参加いただき、また初期の段階から企画に賛同いただき、ご協力をいただいた、ご講演者様、協賛各社の皆様へ心より御礼申し上げます。
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。